「正しさ」依存なココロの難儀・メモ

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 「正しさ」を背負わないとうまく主張もできない、読み手や聴き手といった「相手」との間でよりよい「わかる」を宿してゆくような主張の仕方にすら思い至ら/至れない、という不自由。いまどき若い衆世代の「優秀」系にかなり見事に共通している、ある症状としての。

 「正しさ」を背負った「正しい」主張だから、それだけで全面的に受け入れられるに「決まっている」という思い込み。あらかじめそう思っているというより、そのような主張の仕方しかしない/できないから必然的にそう思い込むようになってゆくらしい、という難儀。

 そんな主張の仕方で読み手や聴き手という「相手」が必ず、それも全面的に受け入れるはずもなく、そもそもそういう状態にいきなり持ち込めるはずもなく。いずれにしても望ましい「状態」に持ってゆくという発想でなく、いきなり「正しい」が全面的に支配する「結果」が固定的に訪れるはず、という妄想。

 過程でも状態でもなく「結果」としてそのような妄想が前提だと、ご本尊には不満が常にあるわけで、またそれを一気に「解決」しようとするからどこかにその自分の「正しい」を判定してくれる存在を夢想する。それは「法律」だったり「裁判所」だったり「国連」だったり「学会」だったり、場合によっていろいろな現われ方をするようだけれども、何にせよいずれそういう「権威」を渇望するようになるのは変わらない。

 いつかそういう「権威」が必ず自分の「正しい」を「判定」してくれる、というココロのありよう。そちらへ傾いてゆくくらいだからもともと「科学」「エビデンス」などをマジメに過剰に信頼し、だからこそもうずいぶん前から気づかぬうちに素直に依存してきているはずなのに、自覚がない分、それがまごうかたない「権威」であることについての留保はしない/できない不思議。なぜなら、それは「正しい」という自明の正義を当然のように体現して実現してくれる存在であるはずだから。そしてその「正しい」の側に自分もまた当然、属していることは初めから決まっているから。

 だから、そういう「権威」の認識もないし、ないから「権威」というのもまた、ある限られた関係や背景、利害や思惑、その他いずれめんどくさいニンゲン世間のしがらみなどあれこれのからみあいの果てにようやく実現してゆく/され得る「状態」に過ぎないかも知れない、といった留保もない/できない。結果、眼前に立ち現れる姿には、ある種の盲信や狂信、それこそカルト信者と同じようなココロのありようが、そういう「正しさ」依存の人がたには必ずつきまとう。

 「正しさ」依存が、世間一般その他おおぜいの視線から「頼もしい」と信頼される、さすが「専門家」のもの堅さだと敬意を表される、そんな時代そういう情報環境も確かにあった。あったし、割と最近までそんなものだった。おそらく、未だそういう「正しさ」依存なココロの人がたは、そんな時代そういう情報環境が未だ活きている〈いま・ここ〉を日々生きとらすのだろう。だから、「正しさ」を背負ったもの言いや立ち居振る舞いのまま、事に応じて堂々と、ほんとにご自身の意識としては颯爽と「正しさ」の「正義」の守護者として世間の視線の前に登場されることにあいなってしまうのだろう。

 かつて未だそういう情報環境が普通の設定だった時代を生きてきた、それこそ60代以上の年配の、昨今だと「老害」と一方的に罵られることも珍しくなくなった年格好の人がたならばわかる。いまさら仕方ないや、という意味も含めて、まあ、看過することもできなくはない。どうにもわからないのは、むしろ未だ若い世代の30代40代あたりの人がたの間にこそ、こういう「正しさ」依存のココロの現われがまるで申し合わせたように、すでに日々生きて仕事しているはずのそれぞれの世間の違いやひとりひとりの出自来歴その他とはまるで関係なさげに、実にきれいに揃って見てとれる、そのことだ。

 「氷河期/ロスジェネ世代」などと呼ばれるくくられ方に敢えて引き寄せるならば、それら世代の中で、今世紀に入ってこのかたおよそここ20年ほどの苛酷な時期をそれぞれの才覚と器量と運とで乗り越えてそれなりの立ち位置にいま、かろうじて就いて/就けているような、言わば「勝ち組」と自他共に許す人がたに濃厚に見られるこれらのココロのありよう。巷間言われる「ネオリベ」的価値観世界観ともそれは、奇妙に相性が良いもののように見えるし、また同時に、「自己責任」や「自助努力」といったスローガンをすんなりあっさりほとんど何の葛藤も見えないまま口にし、主張する身振りともうまくなじんでいるもののように見えるのだが、さて。*2

*1:一連のtweetから拾っての足場から。「歴史」がらみでまたぞろ古くて変わらぬいがみ合いが、いずれ「善意」で「マジメ」な人がた陣営それぞれの界隈巻き込みながら起こりつつあるらしいのをTLごしに傍観しながら、例によっての雑感。

*2:このあたりの違和感、不信感の類は、こういう雑感やメモを積み重ねながら、どこかでそれなりのつながりを見通せるようなものにしてゆかねばならないと思う。関連しそうなあたり(´・ω・)つ king-biscuit.hatenadiary.com king-biscuit.hatenadiary.com king-biscuit.hatenadiary.com