銭湯の約束ごと

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 上野の某銭湯、手動の閉まりにくい扉をちゃんと閉まりきるまで閉めずに入ってくる一見客を、浴槽の中から物凄い剣幕で怒鳴り付ける名物常連客がいて、まさにこんな感じやったな。自分の「シマ」が荒らされることへの怒り、自分の「シマ」を誇示する欲求なんやろな、ああいうの。


 武蔵小山の某銭湯で、自分の定席が一見客に取られたことに激情して喚き散らした挙げ句、殴り始めた常連を見たときには流石に閉口したが。


 たまに行ってた三河島の銭湯、最初の頃(2011年ぐらい)は常連が多かったけど、数年経つとニューカマー(それこそネパール人とか)が多くなり、常連が常連面できんようになってた。


 逆に言うと、東京中心部ですら地元常連が「シマ」を主張するムラ社会がまだまだ生きているということ。不特定多数が日常的に出入りする、現代的な意味での都市社会って、そんなに歴史が古いものではない。


 悪し様に書いてるけど、ムラ社会の生きてる地域って良いことも多々ある。相互扶助とか。不文律を守れば新入りも色々助けてもらえる。大雪や台風で道が凍ったり信号点かんようになった時も、根津千駄木みたいな旧住民コミュニティの強いところは、地元民が氷どけたり交通整理したり。


 博徒的屋、鉱山の友子組織、団地の町内会等々。農山漁村や都市旧住民のムラ社会から弾き出された無縁が、生きていくためにより強固なムラ社会を作るっての、バブル期頃までは寧ろそれが普通やったのでは、とすら感じる。

*1:コミュニティと拘束力、あるいは個人と集団の関係、ぉよびそこに必然的に関わってくる抑圧や不自由などのバランスシートなど。