街あるきライターの陥穽

 ある一角に惹かれ調べたら、バラックは公道上にあった。検索すると「戦後のドサクサ」「不法占拠」の文字踊る。孫引きブログ群も同じ文脈。実際は、困窮した引揚者住宅で訪ねて話を聞くと高齢者の家だった。資金的に転居できずに来ただけの場所だった。調べず対話もしない街歩きネット記事は容赦ないね。


 ネット記事は、まるでその一角に悪人が蟠踞するような書きぶり。スポット化もしてるらしく撮りに来る人はいると。都市生活者が古び切った建物に惹かれるのは充分分かるが、暮らしてる人の覗き見趣味の側面があるのを忘れないで欲しいな。事情があるならそっとするか配慮する、知らないなら公表もしない。


 何度も同じこと書いてるけど、怖いのは初めてその場所を知り、感覚的に惹かれただけの人が、初めて調べた時にこんな悪意的情報に触れたら、他の一角も同じように見始めること。あなどること、茶化すことが、クールなことマウント取れてることだと勘違いする人がいるんだよね。


 こういうことを過去に書いたら過剰に反応する人(街歩き好きの人かな?)がいたのですが、99%の人は当然何も問題ないですよね。今書いた通りです。街を『あなどること、茶化すことが、クールなこと』と思う人がどうなのかなと言っているだけです。


 簡単なことだと思います。自分の氏素性、どう書いたか、その撮った相手に仮に聞かれたら、明かせるか?そして自信を持って見せられるか?そういうものならどこに公表してもいいでしょうが、見せたくないなら、自分の心自体が、後ろめたい視線を持っている原因をすでに知っているでしょう。