リモートワークのワヤ

 特にここ10年くらい、素のHTTPを使うことがどんどん少なくなってHTTPS暗号回線を使うようになったから尚更。同じコンテンツでも加入者毎に異なるセッション鍵で暗号化するから、ネット上を流れるパケットは加入者毎に異なるデータになる。


 「こんなこともあろうか」と、同じ内容のデータを複数の加入者間で共有して受信するマルチキャストという仕組みは1980年代には実装され(RFC1112 1989)、1990年代にはインターネットを使って実際にマルチキャスト配送の実験を行うMBONEが試みられ、その成果は華々しく業界誌に掲載された。


 IPv6制定時にもマルチキャストへの本格対応は課題の1つとされ、自律設定(Stateless Auto Configuration)と暗号化対応(IPsec)と合わせ、IPv4からIPv6への積極的乗り換えを促進する「魅力的」新機能として看板に掲げられたのだが…どうなったんでしょうねー、あははーっ。


 グループ鍵暗号についても80年代以前から理論はいくつも提案されて実装例もあったはずだけど、僕の知る限り普及していないねぇ( ˘ω˘) 分散サーバーと暗号アクセラレーターで対称鍵暗号を加入者の数だけぶん回す、美しくも何ともない力任せ実装のほうが普及している。


 片方向(ブロードキャスト)のTVやラジオ放送は加入者数と放送局側負荷にほとんど相関がないけれど、双方向の携帯電話はこれが如実に出る。コミケ会期のように加入者が極端に集中すると基地局が過負荷になってつながらない、通じない、切れる、最悪時は基地局がダウンして圏外表示になってしまう。


 インターネットの仕組みが同一コンテンツの同時多数配送に向いていない(マルチキャストはあるけど使われていない)のに、それに加えて携帯電話回線がますます向いていないから、デジタル携帯接続でネット授業とかTV会議なんてプロバイダからしたら「やめて~!(;><)」なのである。