「老人」「年寄り」の音楽体験・メモ

*1

 もし自分が介護施設で音楽を聴くなら安室浜崎世代のJPOP、一瞬流行ったメロコアや友達が好きだったoasis系、スラダンから始まるアニソン集…すべて捨てがたいので、これらが朝のお散歩プレイリスト、雨の日ポップス、真夜中のおすすめアニソンみたいな感じで自然に流れてくる優しい世界を希望します。


 亡き父も、デイサービスで演歌や童謡を合唱させられて困っていました。だって、うちの父は若い頃からJazzが好きだったから…。職員の方から「お父様はいつも一人でポツンとしています」と心配して頂きましたが、お気になさらず、父は皆さんの賑やかな声を聴きながら一人でいるのが好きなのです…と返答。

 必ずしも集団に入りたい人ばかりではないし、入りたい集団ばかりではないし、誰しも一度くらいは経験することなのに、全体を見なければならない立場になるとその発想を持てなくなるというのは興味深いですね。

 正にそれ!私の経験でも90歳ぐらいのおばあさんで昭和20年代の日本の歌ではイマイチ反応が悪かったのが、戦後直後のジャズとかをかけた途端にノリノリに…。神戸だったので地域性もあったのかも。よくよく考えたらジョン・レノンだって生きてたら今年80歳ですからね。

 昔「ロッキング・オン」のネタで、かつてパンクスだった老人がホームに入るような時代が来たら、"Oi! Punk"よろしく"老い!パンク"でスタンディングで盛り上がるというのがありましてな……活動の有効性はあるのでしょうけど、個人の嗜好を画一的にやるのも如何なものかと。

 そのうち「わしはいくつになってもこの歌らが好きなんじゃ~」と強弁をふるって、アニソンやゲーソンを周りが嫌がる中歌いだすオタクをやり続けた高齢者が老人ホームのあちらこちらに紛れ込むことも予想されますよ。


スタッフA「ここのおじいちゃん達はガンダムを流しておけば大人しくしてくれるから楽ね」
スタッフB「気を付けて、その部屋は宇宙世紀でないと怒りだすのよ。あと、隣の部屋は銀英伝だからね」


 海外だと御年70歳のジーン・シモンズのところへ慰問に行き、カントリーを歌って地獄の業火に焼かれるような。

 デイサービスで演歌や童謡を歌わせるのを、もうそろそろ止めた方が良いのでは?と、思う。
介護サービスを受ける高齢者も、戦争を知らない(幼くて覚えていない)人が増えてきていて、音楽といえは洋楽❗と言う人がいるのも自然な流れ。

*1:「高齢者」のステレオタイプが現実と乖離してきている問題。音楽その他サブカル体験をどうそれらの現場に織り込んでゆくのか、というお題の一環としても。