「独身力」のこと

 とある独身男性とご飯に言ったんだけど、人当たりは良いし話は面白いし大手勤務だし、なんで彼女いないの?って始めは思ってたんです。しかし(あわよくば…)って気持ちは終盤には消え失せていました。


 私もそうだから分かるけど、たいして恋愛経験をせず大人になってしまい、独り身の期間が長いと一人で生きることに慣れすぎちゃって他人が入る隙がなくなっちゃうんだよね。生活の細部の拘りとか個人の暗黙のルールとか生き方の癖が本人も自覚ない間についちゃって、それは歳を重ねるごとに強固になっていく。誰でも相手を知っていく過程で(特に恋愛では)価値観のズレを感じることがあると思うけど、それが発生しやすくなるんだと思う。しかもその価値観のズレの許容範囲が年々狭まっていく。


 ピュアなうちは自分軸が定まってないから気にならなかった様なことも、対象との差異として表出してくる。ああ〜いい歳になって恋愛を始めるのってむず過ぎんか。ピュアなうちに恋愛しときたかった…まあ御託はさて置き、その方が中盤から自分語りを始めたんだけど、なんと拘りの強いこと。あの店の寿司しか食えねえ!みたいなのが多い。ここでシャットダウンしてしまう私も、自分の拘りを鼻息荒く語る彼も"独身力"高いなあ。


蛇足
ここで感じた独身力ってのは、家事や自炊ができて生活力があるって意味ではなく、他人と恋愛関係を構築し始めることへの難易度的な意味になるのかなあ。

 何も巷間言われるように「恋愛」というイメージに縛られているというわけでもなく、ただ普通に「つきあう」ということ自体のハードルが男女問わず上がってしまっていることが、晩婚化や少子化の基本的な理由としてあるのは間違いなさそうではある。要は自分以外の「他人」と「つきあう」ことの難しさを誰もが察知してしまう、その程度に誰もが「個人」であり「自由」であることをうっかり実装してしまった果ての現実。

 「つきあう」というのがどういう状態なのか。