コロナ遺体のエンバーミング・メモ

時系列と事実を追って説明しなきゃいけないんですけど、まずIFSA(エンバーミングの協会)でも初期の段階ではコロナで亡くなった方のエンバーミングは推奨しない形だったんですね。これはコロナがどの程度の感染力や死亡率で亡くなるか、まだはっきりしない段階での話。


この時点ではエンバーミングの公式団体から「推奨しない」の声が上がっていたし、最初のころの厚生省指針でもコロナで亡くなった方が経由地を最小限に火葬するのが推されていたので、お別れを十分行うよりも感染症を蔓延させないためっていう流れだったわけです。


流れが変わったのは7月の厚生労働省の指針がでたときで、これで葬儀とか通夜を出来る方は検討してくださいって流れに段々変わっていきました。pref.gifu.lg.jp/uploaded/attac…


エンバーミングを施すことが出来れば、ウイルスは失活するので、納体袋の必要性がなくなります。ですが体液が飛散する可能性のある処置なので、エンバーミング技術者への感染の危険性があるのでどうなの?っていうのと、対応するエンバー業者が少ないって問題があります。


これは各事業者の感染リスクと経営判断なので、一概にやるべきだとも言えないことで、エンバー大国のアメリカでもコロナのご遺体は冷却保存されて、火葬を待っていたことからもエンバーすれば大丈夫よりも感染蔓延を防ぐ方が先だったことからもエンバー推奨とまでは言い難いということでした。


対応業者が少ない中で、エンバーすればお別れできるよっていうのは供給が追い付かない問題が出てきます。すべての希望者にエンバーミングを施すことができない可能性があるなかで、この報道の影響って言うのがどうなるか注視していかないといけない所です。


それから火葬場などの対応も、コロナ陽性者の診断がなされている以上は、感染のリスクがなくとも陽性者枠でしか火葬できない(だろう)の問題があります。コロナでの死亡者をどのように扱うかは個別のリスクに対してまだ示されていないと言っていい状況です。


そして料金ですが、通常エンバーの料金は処置の程度にもよるのですが15~25万円ぐらいが原価の相場なので、感染防御をしながらの処置なので、妥当なところだと思います、搬送費用は別途なのでエンバー施設への往復の搬送料金がかかります。


初期の段階から、様々な風評被害のリスクや、感染への可能性があるなかで、エンバーミングを行っていたフューネラルサポートサービスさんは立派です。勇気と社会的意義があるなかでお仕事をされていたことを尊敬するばかりです。


現状の問題点は、希望者が多くなった時にエンバーミングを施せる業者が足りているとは言えない事、そして火葬場や他施設の対応がコロナ陽性者をどう扱っていいかガイドラインがない中での対応なので、各自の判断に任されてしまうことなどがあげられます。


どちらにしろ、コロナで亡くなった方への対応がかわるきっかけなので、報道は公式の資料になるので、対応判断をしていかなくてはいけない形に変わっていくだろうということです。


懸念しているのは、お金どれだけかかっていいからと遠く他県からの依頼も集まってしまう事と、そのお金をもってるかどうかの多寡でお別れの形が大きく変わってしまう事です。なので注視していかないといけないし、大丈夫の気持ちがお金や物理的な距離の問題で折られてしまう絶望感を心配しています。