動画派と文字派

 情報入手先として、動画派と文字派にざっくり分かれ始めている印象。動画派はYouTubeから情報得ているのだけれど、傾向として、デマ情報を信じやすい気がする。新型コロナとかトランプ大統領の情報で、動画派はちょっと信じがたい話をすることがある。


 動画は映像と音声なので、引用文献を紹介するのに向いていない。情報の振り返りにも向いていない。音声の文字起こしは一苦労だから、情報の正確さを検証するのにも向いていない。だから、検証されないままデマ情報を垂れ流ししやすい傾向があるようだ。


 それでいて、動画は「信じられやすい」傾向がある。私たち昭和の旧世代にとって、動画のような映像は、テレビに代表されるように、文字よりさらに格上の情報のような感じ。文字は誰でもタイプするだけだけど、動画作成はとても手間がかかる。本気でなければ作成されないはずだ、とも。


 ところが、どうも、様子が違ってきている。私の最初の本「自分の頭で考えて動く部下の育て方」は、頼みもしないのにかなりたくさんの方が動画作成し紹介してくれている。アニメーションをふんだんに使って。どうも昔と違って、動画を作成しやすい環境があるらしい。


 「動画を作成するなんて、手間とお金がかかることをやるはずがない、本気でないと動画なんか作るはずがない」という私たちの思い込みが、動画で伝えられる内容を真実だと信じ込んでしまう原因になっているのかもしれない。


 しかしどうやら、動画作成の手間とコストはかなり軽減され、プロでなくても動画をササッと作ってしまう人が多数現れている様子。そうした人たちが、ウケるからということで、人々が信じたがっている内容の動画を作成しているケースがあるようだ。


 その結果、文字のニュースをあまり見ず、YouTubeなどの動画をよく視聴する人たちが、巧みに編集作成された動画を見て「これはとんでもない情報だ、世間の人はまだ知らない、これを世に広く知らせるべきだ」と考えて、動画のURLを送ってきたりする。


 ところが典型的な文字派の私は、動画をほとんど見ない。10分もあるような動画は絶対といってよいほど見ない。10分も拘束されるの、面倒で仕方ない。文字なら、まともに読んで10分かかるのでも、ざっと目を通して読む価値があるかどうかを判断できるが、動画がだいたい、最初にもったいつける。


 だから「この動画を見てください!ここに真実が暴かれています!」と、危機感もあらわに紹介してくれる人が結構いるのだが、見ない。一切見ない。面倒だし、既述のように、検証しにくい情報だから、信ぴょう性が低いとみている。それはそれとして。


 息子の小学校でのアンケート調査を見ると、テレビの視聴時間を、スマホでの動画視聴の時間が超えたようだ。今の子どもはテレビよりYouTubeなどの動画を見る時間の方が長い。そしてそれはどうやら子どもだけでなく、親も同様のようだ。


 エビデンスがはっきりしない、しかし映像が巧みに織り込まれ、ストーリーも一応成立している動画を見ると、「テレビや新聞で言っていることはウソだ!こっちのほうが信じられる!」と反応してしまう人が増えている様子。また、こうした動画派は文字情報を見る習慣がないので、情報検証をあまりしない。


 動画派と文字派の分断は、今後、かなり深刻なものになるかもしれない。情報の得方、発信の仕方がくっきり分かれていく傾向を感じる。何か工夫をしないと、えらいことなる気がしてきた。

 まとめました。

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