謄写版の記憶

 デジタルシフトのモデルとして印刷技術の革新は説得材料になるかも。今みたいに手軽にバカスカ刷り物作れるようになったのは、1980年代後半からなんだよね。承前の謄写版+ローラー手刷りでは1分間に1枚がせいぜいだった。直接インクを扱うから手も汚れるし、大変だったんだよ。


 謄写版の原紙は蝋引きの紙。ヤスリの上に置いて鉄筆で書くことで蝋を削り、印刷時にはインクが浸透するという仕掛け。ヤスリと鉄筆なので、作業中はガリガリ音がする。原紙の作成=ガリ切りとはそういう意味。


 当時は手元に原稿があってもコピーみたいに複製は簡単に出来ない。謄写版の会社もたくさんあったし、父親も大学生時代はガリ切りのバイトしていたと言っていた。細い鉄筆に合った書体があって、これを覚えると結構稼げたらしい。たしかに父親が作ったガリ版謄写版)は今見ても緻密で美しい。

gakko.site