むかしむかし、ある支店に狡い先輩行員と誠実な後輩行員がいました。
— たまちゃん2@銀行 (@tamachanbank2) 2024年9月24日
ある日、後輩は大きな取引先を担当することになりました。それを見た先輩はその取引先が欲しくなり、
「この小さな取引先は、成長してどんどん大きくなるよ。どうだい、その取引先と交換してあげようか?」
むかしむかし、ある支店に狡い先輩行員と誠実な後輩行員がいました。
ある日、後輩は大きな取引先を担当することになりました。それを見た先輩はその取引先が欲しくなり、
「この小さな取引先は、成長してどんどん大きくなるよ。どうだい、その取引先と交換してあげようか?」
うん、ありがとう。誠実な後輩は大喜びで、小さな取引先と大きな取引先を交換しました。
それから後輩は、その小さな取引先を大きくしようと、相談に乗り、提案をし、
「大きくなぁれ、大きくなぁれ、でないと金利を引き上げるぞ♪」と声を掛けました。
するとどうでしょう、取引先はどんどん大きくなりました。
嬉しくなった後輩はさらに提案を重ね、「大きくなぁれ、大きくなぁれ、でないと融資を引き上げるぞ♪」と声を掛けました。
取引先は、どんどん大きくなり、ついにはIPO(上場)を目指すようになりました。
ところが後輩は経験不足で、どのようにIPOのサポートをすれば良いかわかりません。
どうしよう?
困っていると先輩行員がやってきました。
「ありゃ、本当に大きくなったのか。よしよし、おいらがIPOを手伝ってやろう」と、グループ証券会社にIPOの主幹事をさせて、フィーを全て自分の実績にしてしまいました。
狡いよ先輩!私にもフィーを分けてください。
すると、「うるさい、これでも喰らえ!」と法人関係情報管理(注:株価に影響を与えるような企業の重要情報。上場企業担当は厳密な管理が必要)だけ投げつけて来ました。
先輩に裏切られたショックと初めての法人関係情報管理の複雑さに、後輩は病んで支店を辞めてしまいました。
後輩が辞める際の面談でそのことを知った支店長、課長と事務職さんはカンカンに怒りました。
よおし、皆でアイツを懲らしめてやろう。
「急いで契約書を持っていかなきゃ」と先輩が焦って事務職さんに契約書の作成をお願いしてきたので、
事務職さんは「金利更改は何ヶ月毎ですか?金利は先取り後取り?え?そんなことも分からず頼むんですか?何年行員やってるの?」とチクチク攻撃しました。
融資の条件を確認しようと稟議を開こうとする先輩に、
今度は課長が、「おい!お前がお客さまと話がついています、と言った案件、全く具体化してないじゃないか?どうなってんだ!?」と追い討ちをかけます。
フラフラと先輩が外訪に出掛けようとしたその時、
支店長が「君はあの取引先からのフィーで上期に既に通期目標達成しているのだから、ノルマを見直して残り〇億円稼いでもらおう」とトドメを刺しました。
重くなったノルマ、詰める課長、協力してくれない事務職さん、、、
ついに先輩も銀行を辞めました。
でも辞めてしまった誠実な後輩は、もう帰ってきません。噂によると、何処かの外資系金融機関で活躍しているようです。
辞めてしまった先輩の代わりもいません。
金融機関がオワコン産業と言われる今、優秀な新人採用は望めないし、ましてや即戦力となる中途採用は不可能です。
人が減り、寂しくなった支店で支店長と課長は肩を寄せ合います。なぜ、こうなる前に気付けなかったのでしょうか。
悔やんでも悔やんでも、辞めてしまった行員は誰一人として二度と返ってはこないのです。
そんな中、支店に役員がやってきました。「この支店はフィーを稼いで素晴らしい!業績表彰してあげよう!そして来年度はノルマを2倍にしよう!」
おしまい🌸