水田風景の背後に・メモ

先日ある先輩農家さんと話した。近ごろの田植え機はなんと、1日4町歩植えるという。ひと昔前は2町歩くらいだったはず。だからかろうじていま、田植え機1台で10日でこなしているらしい。つまり1戸で40町歩の水田を担っている。これがどれだけ危険なことか、ご本人が最もよく理解していた。


この方も息子さんが参入して一緒にやるようになるまでは20町歩くらいだったと思う。一部、無農薬米も手掛けていたけど採算が全く合わずに撤退。息子さん参入と同時にさらに規模拡大に転じた。
周りで高齢化により、稲作ができなくなる人が増えているから、まだやれる人が引き受けるしかなくなってる。


同じようなことは、そこらじゅうで起きていて、10町歩が20町歩へ、20町歩が40町歩へ、というような途方もない規模拡大が進む一方、当たり前だけど…息子だけになった時、そんなもの維持できるわけがない。綱渡りをしているということを承知の上で、しかし、いまそれ以外に稲作を守る方法が無い…と。


毎日の通勤通学、出掛けた時にふと視界に入る、雑草が一本も無い水田。
今年も日を追うごとに、葉が伸びて大きくなっていることと思う。
一見、平和で、何事も起きていないように見える。いつもの日常。
いつもの日常…の水面下で静かに進行していることはものすごく多い。