「ジャングル大帝」オープニングのこと

 この「ジャングル大帝」のオープニングシーンについて、2013年に阿佐ヶ谷ロフトで行われたトークイベント「永島慎二漫画家残酷物語」で、虫プロ時代に制作担当だった真崎守先生が、下記思い出を語られていました。


冨田勲について】
 アニメと言うのは通常、先に絵を描いて、後から効果やら台詞やら音楽を入れて、アフター・レコーディングなんでアフレコって言うんですが、これは、先に作曲家の冨田勲さんにお願いに行って、最初に言われたのが「フル・オーケストラでいいか?」という条件でした。こちらもお金がないので「そんなの嫌です」って言ったんですね。それでどこまで楽器の数を減らせるかという話になっていって、そこで冨田さんが「じゃあ、その倍の音量を出せばいいわけだな」って言ったんです。その時は一体何を言っているのかさっぱり解らなかったんですが、レコーディングの時に見に来いと言われたんで行ったら、多分コロンビアのレコーディング室だったと思いますが、ものすごい広いステージの上に衝立を何枚も置いて、それに楽器から出る音を反射させて多方向から重なり合うようにして、それでアフリカの広さを出すんですよ。いやあ、音楽家って凄いなあって思いましたね。


【鳥が飛び立つシーンについて】
 オープニングでフラミンゴが飛び立つシーンがあるんですが、当時の虫プロではそれを描ける技術がなかったんですね。それで当時東映にいた、動物を描けてそれを動かす事では日本一だった勝井千賀雄さんという方を強引に連れてきて、山本暎一の描いた絵コンテを見せて「これをあんた一人に頼みたい」って言ったら「俺は死ぬ」って言われました。


【オープニングシーンの製作費について】
 テレビアニメというのは、どこまで手抜きをして、それで鑑賞に耐えられるものを作れるかということを手塚先生が鉄腕アトムで発見して、顏のアップで口パクパクや目パチクリだけで何秒持つか、ということで採算とらないとやっていけなかったんです。(そういう厳しい状況下で)冨田勲さんが先に曲を作って、勝井千賀雄がフラミンゴを飛ばした、それだけで通常のアニメ四本分のお金が消えてなくなったということが一番記憶に残りました。

 このフラミンゴの群れに魅入られた板野一郎氏がガンダムで描いた件も有名ですね。


 サンヨー電機がスポンサーで カラーテレビ普及に貢献したと思うが 我が家はマジンガーZまで白黒だった