認知症の祖母が入ってる特養老人ホームから報告書が届くのだが「毎日午前中は家に帰りたいと言っている」と書かれている。しかし本人との会話で分かってるが、この「家」とは「過去の幸福な記憶の集合体」のことで、実在しない。帰れない、帰りようがない。
— Macop コミケ101 12/31(土)東F-28a水底森 (@macop_uwf) 2021年6月17日
この「家」は、糞便垂れ流しでない中世ヨーロッパ、風邪や麻疹で人がバタバタ死なない江戸時代、公害垂れ流しでない昭和のような「過去の残像で作られた美化されたフィクション」のこと。どこに行っても「ここじゃない」になる非実在。
認知症になるとこんな風に記憶が混濁し現実と虚構の区別ができなくなる。いずれ誰もが別の病気で死ななければこうなるのだから、家(過去)に帰りたいと日がな一日嘆くだけの生物にならないよう、できる限り「振り返る必要がない生き方」をしたいなと祖母を見ていると思う。
そうやって生きた結果早死にするならこんな未来が自分に訪れないのが確定するのだから、それはそれで幸福なことだろう。