新手のステマ?・メモ

 帰りのバス。若い男女が、本の話をしていた。男性の方は、彼女が十分にただしく文学を学びさえすれば、自分の好きな作品や作家を彼女も同じように評価するのだとでも思っているかのように、好きな作家について話し、女性の方は、彼の推す作品の何が良いのかを丁寧に聞き出していた。


 彼は島田雅彦奥泉光がいかに素晴らしいかを、すぐれた先人たちを引き合いに出しながら、熱弁を振るっていた。わたしはバスを降りるために席を立ったとき、彼女の鞄の中にチママンダ・ンゴズィ・アディーチェの『何かが首のまわりに』が入っているのが見えた。


 わたしは、島田雅彦奥泉光も、アディーチェと同じくらい尊敬する作家だし、見ず知らずのふたりの関係になにかを言うつもりもまったくないけれども、でもその女性にとって、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの本が彼女の人生のお守りのような本であってほしい、と願った。