中東問題の背景・メモ


 もともと中東ではイラン(ペルシャ)とトルコという帝国の流れを受け継ぐ二大大国がある一方で、産油国になった弱小国が大金持ちになり力をつけるという出来事がありました。そこでオイルマネーでお金持ちになった産油国の支配者は、アメリカと組んで体制を維持しようとしてきましたし、市民革命を起こしたイランからの革命の広がりを脅威に感じてイランを警戒していたので、パレスチナ問題があってもなおアメリカ側につくべき理由がありました。


 しかし、実際にはイランが積極的に産油国を攻撃しているというより、アメリカがイランを攻撃する際にイランを警戒する産油国が付き合っている形です。それでイエメンでは代理戦争が起きていました。


 ただ、イランは大国ですからアメリカが押さえつけていても力をつけていっていますし、それでサウジアラビアがイランのものらしきドローンで攻撃を受けて防げないというような事態が起きて、わざわざイランと敵対するよりも融和した方が良いのではないかとの流れができました。


 その後、ウクライナ紛争が起きて、アメリカの衰退が明白になる一方で、制裁を受けている国同士のロシアとイランの結びつきが強まり、イランが急速に力をつけるようになりました。他方で、アメリカとヨーロッパがウクライナで人種差別的な態度を見せたり、あるいは民主主義でない国の体制転覆を声高に主張するようになり、当然の如く民主主義でない中東諸国にとっては脅威でした。すると、中東諸国にとっては欧米よりもロシア中国イランのよう民主主義を押し付けない国らによる一大勢力と組むメリットが高まっていきます。


 それでも、中東諸国はすぐにアメリカと敵対するのではなく融和的な態度をとっていましたし、パレスチナ問題をちゃんとしてくれればイスラエルと融和しても良いとの態度をとっていました。しかし、そこでイスラエルとバイデンが強硬な態度を取り、高圧的に言いなりになるように求めるというポカをやらかしました。プライドの高い中東の国々はアメリカへの不信感を高めました。


 そして、ここ最近は、ヒズボラハマスやイランといった反イスラエル勢力が力をつけつつある一方で、イスラエルパレスチナへの弾圧を強めるという火種が生じてきて、そうして一触即発の状況になりつつあるところに、今回のハマスの攻撃が起きたんです。


 それでも、ハマスの攻撃に対して欧米がフェアに接していれば中東諸国が欧米側についた可能性もあったでしょうが、ウクライナ侵攻あたりからずっと独善的かつ高圧的だった欧米は「イスラエルは何をやっても良い」というような二枚舌を公然と振りかざしてそれをプロパガンダで正当化しようとしました。その結果、アラブ系あるいはイスラム教徒へのヘイトクライム(虐殺含む)を欧米が後押しするという狂った事態になりました。そこまでやられると中東諸国にしてもイスラエルのやることを認めて「私たちアラブは人の価値が低いので自由に殺してください」なんて態度を取れる訳がなく、ヘイト国家となったイスラエルへの反発を強めています。


 かくしてイスラエル包囲網が出来つつあるんです。

 アメリカやイスラエルって中東が一つにまとまらないようにずっと工作をしてたわけです。


 少し前にはイエメン内戦というサウジとイランの代理戦争がありました。


 だから、中東が一つにまとまった今、イスラエルにとって非常に都合が悪いわけです。


 ロシアはペトロダラーの崩壊を狙ってましたが、中東が一つにまとまるってそれに付随して起きたものです。