これもまたリクルート発のニュースですね。就活関連のニュースの多くは、意識的か無意識かは別に、いずれこういうリクルート(系)のフィルタリングがかけられている現状なわけで。
国内市場には「面接スキルに踊らされるな」などと口あたりいいこと言いつつ、海外市場にはこういう媚び方をしてゆくダブルスタンダード、見事です。目先の「優秀さ」がどれだけ彼の地の「バブル」に裏打ちされたものでしかないのか、80年代「バブル」とその後の死屍累々から何も学んでいないようですね。喜んで採用した中国人社員の中から、モラルハザードによる企業内犯罪みたいなことが早晩、起こると予言しておきます。
ともあれ、対外国人、うんぬん以前に、道内の学生たちは、まず、対大都市圏の学生、というハンデ戦に直面していることも銘記すべきかと。
いずれにせよ、「出口」たる就活に光明を見出そうと目論むのなら、急がばまわれ、「質」を「入口」から確保、維持することは必須でしょう。今後の日本人大卒労働力の「中核」はどのような「質」が望ましいのか、大学側も単に就職率に一喜一憂、右往左往するだけでなく、ある程度のビジョンを持たないといけない時代になりつつあります。
「使える」元気印、というだけなら、専門学校の方がよほど先行ってたりするわけで。世間がいまどきなお「大卒」であることに期待するとしたら何に対してなのか、をもう一度、考えてみる必要があると思います。
日本の企業が、本格的に中国で大学新卒者の確保に動き出した。年630万人という世界最大の市場に狙いを定め、日本本社の幹部要員として採用する。中国では、優秀な人材は待遇のいい欧米企業に流れていた。日本企業は、高給の「本社採用」を武器に、中途の即戦力も併せて呼び寄せる考えだ。
「金鉱を掘り当てた気分。正直、ショックです」
中国上海で、人材大手のリクルートが中国の有名大新卒者向けに初めて開いた集団面接会。米コンサルティング大手、ボストンコンサルティンググループ(BCG)の内田有希昌パートナーは2日間の面接を終え、こう感想を漏らした。
いい学生が2~3人いればと半信半疑で参加したが大当たり。
「すでに上海と北京で6人に内定を出し、さらに数人採用するかもしれない」
同社は近年、東大や慶応大などの有名校を中心に日本で年十数人を採用してきた。だが、「安定志向の草食系が多く、戦闘意識の強い野武士タイプが減っていた」と内田氏。それで中国に来てみたら、「負けず嫌いで、競争意識の強い、我々の大好きなタイプがうじゃうじゃいた」
同社は、面接時の日本語能力は不問。面接に来た学生の大半は一度も海外へ行ったこともないのに英語を滑らかに話す。日本語など、素地があるから内定後に学ばせれば十分という考え方だ。中国の学生は転職意識が高いのがリスクという人もいるが、内田氏は「日本でも2~3年で辞める草食系エリートは多い。定着するかは会社次第だ」と意に介さない。
参加料は1社100万円。さらに1人採用するごとに110万円支払う契約。決して安くないが、リクルートは「日本の10倍以上、630万人もの新卒の中で競争に勝ち抜いてきた人材から選べる」と価値の高さを強調する。
上海の面接会に臨んだ玩具大手タカラトミーは「あまりに優秀。日本の学生より自分のキャリアアップの計画が明確で、上昇意識がある」(福元紀哉人事室長)との理由で、予定の2人を上回る3人に内定を出した。同社は将来新卒採用の半分を外国人にする計画があり、「中国人の採用が増えれば、その分日本人の枠が少なくなる」と話す。
中国の学生も、チャンスととらえる。復旦大日本語学科4年の女子学生(22)は「日系の現地法人の給与は3千元(約3万7千円)程度だけど、日本だと初任給が約20万円と全然違う」という。本社採用なら責任ある仕事ができるのも魅力と言い、「同級生はみな米国、英国で就職する。私も海外で働きたい」。
メガバンクの面接に参加した上海の同済大日本語学科4年で、週末は復旦大で国際経済も専攻する徐爽さん(21)は、「外国人を採用しようという気持ちが伝わってきた。日本の企業文化も変わってくるんじゃないか」と期待を込める。
(中略)
Aコマースの秋葉良和代表によると、中国人の人気は欧米企業が集めがちだったが、2008年のリーマン・ショック以降は「雇用の安全を重視する日本企業の良さが見直されている」という。中国でのビジネス拡大を目指す日本企業には、「日本人による営業では限界があり、優秀な中国人に本社で企業文化を身につけてもらい、市場開拓を任せたい」(食品大手)との声が強い。
BCGの内田氏はいう。
「優秀な外国人を採用することで、日本人の目の色も変わるだろう。グローバルでの競争意識に目覚め、学生も社員も危機感を持ってくれれば成功だ」http://www.asahi.com/job/news/TKY201011200289.html