何故ハッカーの殆どが中国出身なのか・メモ

元はおそらくこのサイトの掲示板か何かから、TLに紹介気味に流れてきたもの。いろいろ考えるべき問いを複数含んでいるプラットフォームといった意味でも、備忘的に。
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 中国人として、私には何故ハッカーの殆どが中国出身なのかを説明する義務が有ると感じた。


 PUBGにしろ、Apexにしろ、CSGOにしろ、ハッカーが一人でも居たら、ゲーム体験は酷い物になるというのは自明の理だ。そして例外なく、それらハッカーの殆どは中国出身だ。


 私が初めてチートという存在を知ったのは12歳で、10年前の事だ。だがその頃は今ほどは酷くなかった。最近になって、この暗黒産業は唐突に隆盛を見せ始め、そして私は出来るだけ何故こうなったかを説明しようと思う。


 まず初めに話しておきたいのは、虚栄と名誉の価値だ。中国では俗に『他所の子』という言葉が有る。この『他所の子』は度々親や教師、親戚の話に出てくる、文武両道才徳兼備でとにかくあらゆる面で君より優れている子だ。そして親教師は決まって君にその子の様に好成績を取り優秀で有れと促す。彼らは虚構の理想像を作ってから子供に圧力を押し付け、但し肝心のどうしたらそのような子になれるかは教えない。なので子供には競争心ばかりが育ち、勝利への道筋はどうでも良くなる。なので、例えば努力せずともゲームに勝てる方法が有るというなら、迷わずそれを使う。そのように、私の世代の子の殆どは名誉や努力、勝利の過程等はどうでも良くて、とりあえず勝てば良いという価値観を形成されてしまっている。


 二つ目の問題は違法コピーだ。まず中国では、2015年までSteamの存在は広く知られておらず、PCゲームを遊びたいなら違法コピーに頼るしか無かった。そしてそれに付随してきたのが『Modifier』というツール群だ。私の世代の殆どは日光無限のPlants vs Zombiesを遊んできたし、無限弾薬や無限HPのCoDを遊んできた。(殺せ、ロシア人だのステージでマカロフにすら殺されないんだ)。このようなModifierでシングルをただ楽しむだけで済んでいたなら良かったが、一部のプレイヤーはこれらに依存してしまった。
 
 なら違法コピー問題はロシアでも顕著なのに、なんで中国のハッカーのが圧倒的に多いのか。その質問に関しては、次の第三点につなげたい。
 

 3つ目の問題は『供給過多』だ。過去10年に渡り中国のIT産業は爆発的な発展を遂げて、情報工学科は大学で最も人気な課目になっていた。ただ、このITバブルが弾けた後、殆どの新卒プログラマーは主流のIT会社から外れて、セキュリティソフト会社に勤めるしかなくなってしまった。そしてその会社からすらリストラされた彼らが、経験を活かしやすい次職に何を選択したかは想像に難くないだろう。生活のために手を染めるしか無かった彼らは、堕ちていった先でも別のスタジオと壮絶な競争を繰り広げている。方法は伏せるが、例えばCSGOのチートなら週6ドルで手に入ってしまう。


 見て分かる通り、歪んだ社会教育と、ブースター系modへの依存と、安価な供給が現状に通じてしまったわけだ。こいつらハッカーは環境を破壊している事にすら気づかず、ただ勝利の快感を繰り返し追い求めているだけだ。薬物みたいだって?私もそう思うし、彼らを憐れとすら思う。

 
 一つ信じて欲しいのだが、毎回同胞の中国人が何かのゲーム環境を壊しているニュースを見るたびに私は無力感に苛まれている。出来ることならハッカー全員に努力して掴んだ勝利の尊さを説教して周りたいし、どうしてこんな事になってしまったのかと嘆く日々だ。国内も完全に無法地帯というわけでもなく、チートツールの開発は違法化されては居るが、法解釈の不足でグローバルサーバーを持つAPEX等は取り締まるのが難しいというのも現状を引き起こした理由の一つだろう。


 もう一つ信じて欲しい事が有る、これは他の中華プレイヤーも多く同意してくれる事柄なのだが、我々はチートを恥と捉えている、ただ未だマイノリティだ。私達に出来ることは周りの人達に使うなと説いて回るだけで、常に努力しているが、本当に現状が変わるまではこのままでは数年もかかってしまう。