海外移住の陥穽・メモ

 この連ツイをアップデートを含めてまとめ直そうかな、と思っていたところでした。年が明けて海外へ挑戦したいと思う方や、色々と思う事のある方がいらっしゃるのかな?色々と反応を頂いているので、これからアップデートを書きたいと思います。


 日本語で発信されるアメリカでの仕事の事情って、優秀な人の話が多いから底辺に近いエリアの話って全然伝わってないと思うんですよね。で、その層で生きている人たちって情報発信しないしさ。だから、今日はその辺を話したいと思います。


 このツイート書いた時に「肝心な底辺を生きている人間の話が出てこない」とか「二世の話ばかりじゃないか」という感想を結構もらったんですね。自分自身がそこそこ底辺の生活を経験していて、その当時に関わった人達もまぁまぁ酷い生活をしていたので書こうと思えば書けるんですが表現を選ぶ、というか自分が通ってきた道を否定するのは、自分自身を否定するのと変わらないしなぁ、という葛藤も有る訳です。これは自分の出身校が世間的に良い学校と言われない学校だとしても、または自分の所属している(た)組織がダメな組織だとしても、それを他の人と一緒になって断罪していいのか?という問題とも関連するかな?と思うのです。今のその人があるのは、その人が生きて来た積み重ねの結果な訳です。それは否定のしようが無く、それが後悔するような選択だったとしても、過去の自分をばっさり否定する事は出来ないよなぁ、と思ってしまう。


 だから、何の戦略もなくアメリカに渡ってきた人(自分も含めてに対して、愛憎に似た感情があるのは事実。そして、多分少しお節介になってしまう自分がいるのも分かっているのです。僕がもう本当に大成功していて、大富豪だったらそこまで感情移入しないのでしょうけど、いかんせん中途半端な状態で自身が不安定だから、発信することで精神的な安定を手に入れようとしてるのかもしれません。


 「底辺」ってなんだろう?と改めて考えると、将来に希望が持てない状況なんだと思うんですね。自分で何かを決める事を許されず、周りと比べて貧しくて、且つ尊敬もされていないと感じている状況。話す内容は職場や誰かの愚痴ばかり。当然、お金には困っている。日本でもそんな状況の人はいくらでもいる、と言われそうですが。問題なのは、そういう状況から脱却すべくアメリカなどに渡ってきた人がアメリカでも底辺に落ちるともっとキツイという事です。速攻で見切りをつけて日本に帰るという選択が出来る人は良い。でも、そういう選択が出来ないから底辺に
落ちてしまうというのも真理なのですね。


 繰り返しますけど「適切な目的と手段での留学」とか「駐在員」とか「正規のビザを取得しての米企業への就職」とか、そういう自身の能力とか、所属している組織のバックアップがあっての移住ならリスクがかなり少ないので良いのです。


 じゃあ、「底辺」に落ちやすいのはどういうケースか?というと「目的が不明瞭な行き当たりばったりの語学留学」「抽選で永住権が当たってしまった」「アメリカ人との結婚による移住」の3つが挙げられるかと思います。賛否両論あるかもですが。一つずつ説明します。

「目的が不明瞭な行き当たりばったりの語学留学」

 若い人がとりあえずアメリカに来ようと思ったら、この方法で学生ビザを取ってくるのが手っ取り早い。学生なので基本的には卒業したら国に帰るか、アメリカで就職してビザを取るの2者択一しかない。でも、学校を卒業しないで何年もアメリカに居座って飲食店とかで違法バイトしながら暮らしている人ってかなり沢山いる気がします。「底辺」もしくは予備軍です。周りに言われなくても、本人が一番自分の将来を危惧していますので、年を重ねる毎にメンタルがやられていきます。速攻で学校を卒業する方向に舵を切るか、日本に帰るかをした方が良いです。「ただアメリカにいる事」に何の価値も無いです。自分がそれは一番わかっているでしょう。卒業出来ないという事は適性が無いという事で、早く次の手を打った方が良いです。ここで不法滞在とかしちゃうと詰むし、アメリカ人と結婚して永住権を取ったとしても生きる能力が低い場合は詰みます。

次に「抽選で永住権が当たってしまった」ケース


 僕もこのケースなんですが、既にアメリカに生活の基盤がある人が永住権を当てた場合は手放しでおめでとうございます!なんですが。全くアメリカに生活の基盤も、縁も、親戚も無い方が永住権を当てた場合は時に悲劇になりますから。実例ですが、日本で大企業に勤めていた50代の男性の方が念願かなって永住権に当選。会社を早期退職してアメリカに移住。元の職場のコネでアメリカでの生活のサポートから仕事の斡旋迄してもらい、アメリカ生活をスタート!!しましたが半年で日本に帰国。元の職場に嘱託で復帰させてもらったとの事。ご夫婦共に英語も話せなかったし、現地の生活には色々と苦労をされていた。。。夢は夢のままで終わらせた方が良いのかもしれない。つまり、漠然とした憧れなんて貴方の人生にとって具体性の無いモノであって、現実にならない方が幸せな事も多いと言えるのではないか?という事。逆に言えば、漠然としているものを具体的な目標、目的にまで落とし込む事が勉強であり、生き方そのものである、では無いかな?と。


 で、その帰国したご夫婦は決断が早かったのでアメリカで底辺に落ちることが無くて良かったのですが、アメリカから出られない場合はかなりキツイ事になります(僕の様に)資産やコネや能力の無い移民の暮らしなんて、もう本当にキツイんですから。基本的には本国人がやりたがらない低賃金のキツイ仕事しか回ってこない。住環境だって悪いし、結構メンタルが病んでいきます。「日本に居ればここまで酷い暮らしじゃなかったろうなぁ」などと考える事もしばしば。ホームレスが「明日どうなるかわかんない」っていうのをトコトン味わうとホームレスになるという事が他人事じゃなくなり、彼らに自分を投影して出来るだけ小銭をあげるようになります。あとホームレスの人が街で吠えてたり、見えない誰かと話しているのが何故なのか何となく理解出来るようになってきます。そんな生活をしながら、毎日目標を立てて、それをこなしながら、他人に感謝をし、それをキチンと表現し、地域活動にも参加して。。。。とか無理。本当に無理。どんどん内向的になっていき、他人を恨み、愚痴り、自分の決断の結果のくせに境遇を呪い始めます。気づくと周りにも同じ様な人達ばかりに。残念ながら、そういう人ばかりの職場で働くことになりがちなんですよ。だから、抽選永住権って残酷だな、と思う事もあります。ある人に取っては幸運の象徴ですが、ある人にとっては不幸の始まりかもしれない。だから抽選に当たって人は落ちない様に戦略立てて頑張ってください。

最後にアメリカ人との結婚による移住」


 最初に言っておくと幸せなケースも沢山あるのはわかってるんです。でも、不幸なケースが沢山あるのも皆さんご存知でしょ?という事。働かないアメリカ人の夫と必死で働いている日本人の奥さんのカップルを何組見て来たか。。。寡黙にも逆のパターンは知らない。


 不幸なケースに絞って書きます。落ちるか落ちないかの決め手は結局は経済力、稼ぐ力があるかどうか、なんですよ。。。まずはご自身が異国で「稼げるかどうか」もしくは「生きていくに足りる資産があるか」をしっかりと把握され、次に配偶者の稼ぐ力を考えられることを強くお勧めします。どんなに稼げる相手とでも離婚する可能性は大いにあるし、離婚後もアメリカに残らなければならない可能性も大いにある。そう考えると、まずは自分がアメリカで生きているか?と最初に考えるのは当然だと思うのですが、考えていないのでは?という人も結構多いと感じています。


 そもそも配偶者が稼げない人、働かない人っていうケースも沢山ある。日本人でもダメ男は沢山いるけど、世界中に女性を働かせて自分は働かないダメ男は沢山いるのです。そのケースはそもそも対等では無いのだけど、アメリカに住む事や居残る事が目的になってしまっていると「今だけ」と目を瞑ってしまう人が結構いますね。日本人の奥さんが仕事をいくつか掛け持ちして家計を支えて、アメリカ人の夫は学生やってる、とかたまに見ます。本人たちは良いなら良いんですが、経済的な負担は心身共にキツくてメンタルやられる可能性ありますから注意が必要です。「国際結婚」とか「海外移住」の現実に目を向けた上で、それを自身の選択とされるのであれば良いのですが、漠然とした憧れで物事を運ぶと奈落の底に落ちる可能性がありますよ、というお話。優雅な生活とは無縁でアメリカで必死で働く羽目になった人達がようやく見つけた職場が前述の負のオーラが蔓延した愚痴だらけの職場になる可能性が高い事も追記しておきます。勿論、本人の能力次第なのですが。

 あぁ、きつかった職場での光景が走馬灯の様に思い出されるなぁ。

  ・職場と同僚の愚痴を言い続けている人達
  ・自分ではなく友人、親戚、知り合いの事を引き合いに出してのマウントの取り合い
  ・民族・人種間での争い(広東語と福建語のメンバーが仲悪すぎだけど、対スペイン語勢には結束したり)

 ここまで書いたような「底辺」近くまで落ちてしまった人達が浮き上がったり、這い上がったりすることは非常にレアです。結局、足の引っ張り合いというか、自分の可能性を自分で壊す言動(悪態、酒、ドラッグとか)をしがちななので、もう上がりようがない。だれも引き上げてあげられない。


 で、その人たちにも子供がいるっていう話なのです。そういう一世に育てられる二世達に「可能性」っていうバトンを繋いであげられますか?っていう事。ちゃんとした家庭でも二世は苦労するのに、這いつくばって生きている家庭の二世の苦労というか辛さって想像を絶するものがありませんか?っていう話。だから一世になる人は頑張らないとね、という思いが強いんです。


 前に書いた連ツイは2,30年前に渡ってきたまだ不法移民に寛容だった頃に渡ってきた一世をメインに考えて書いたんですが、本質は同じかなぁ。