「家族と縁が切れている」時の終活作法・メモ

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 スナックのママが「俺はもう、家族と縁が切れているから頼む」と言われて、多少の葬儀代は預かったそうだが、家族が居ないとまず死亡届を誰が出すんだで結構詰みます。火葬だけするにしても、死亡届を出せるのは原則家族です。なので生前から身内出ない人が葬儀を行うには工夫が要ります。


 後見人契約すれば後見人が出せるじゃんと思った人いると思いますが、後見人になると結構めんどくさい状況になって。家裁に報告したり、第三者に頼めばやっぱりお金がかかります。財産のある人なら可能ですが、財産がないような借金のが多いような人には事実上困難です。


 じゃあどうすればいいかって言うと、答えは住民票です。住民票を移しておけば書類上同居になるので、住民票だけ移して置くって言うのが裏ワザとしての死亡届がだせるようになる方法です。そうすると同居人でだせる、大家も出せるのでアパートもちなら、そこに居を構えるというのもありです。


 スナックのママさんのような人に「おれが死んだら頼むよ、家族と付き合いないからさ」の人は、稀にいらっしゃるのですが、実際には家族や親族と連絡をとって、死亡届だけは書いてもらうのが実情です。頼める人がいるとしても、相続や公的手続きなどでひっかかります。


 家族関係ってのは昔から複雑になってしまう人は複雑になってしまうもので、一番の問題は「金があるか」とかをハッキリ言わないで債務超過になっているかどうかも明言しないことです。債務超過になってると言えないんだと思いますが、現実の条件なのでないならないって言って頂かないと対応が困難です。


 色々あったのかもしれませんが、故人が債務の方が大きい場合は、相続権のある人はみんな相続放棄しなければなりません。じゃあ、葬儀に立ち会う気はなくてもスナックのママが火葬や骨の行方をどうにかしてくれるなら。協力しちゃった方が楽なんです。


 縁を切りました知りませんっていっても、相続放棄するか相続して多少でも貰った方が有利なのか。そういう判断も「放置」の状態では情報が入ってきませんから、自衛のためにも情報が確保できる状態にしとかないと、借金の返済を求められたり、よけいに大変な状況になります。


 スナックのママは、どこまで行っても血縁じゃないので葬儀代と合祀の費用ぐらいの話でなんとかなるんですが、家賃の滞納だとか借金の存在とかで血縁関係者は相続してしまったら返済を求められる。知らんぷりしていてもそれが法律だから、財産の把握と相続放棄するかどうかはやらなきゃいけない。


 人のいいママさんが、もしそういうお願いをされたら「最低限、家族親族の連絡先は教えて頂戴。あと葬儀と埋葬の費用も多めに現金で渡しておいてね。」っていうといいです。家財の処分費用も、何十万かかかるので、求めているのはそういう事で、当然ママのギャラも考えておいてください。


 保険の受取人が家族親族ではなくて第三者に指定できれば、お金のことは何とかなるんだろうけど保険金殺人の事もあって、第三者は受取人になれないから結局家族になるんです。現実を踏まえて、出来ます出来ます商売の人は気を付けましょうって話で一応この話おわりです。

 追記。墓の事を言うの忘れていました。寺の墓だったら話し合いで済むところがあるけれど、公営墓地とかだと血縁関係者じゃないと墓の名義書き換えできなかったりするので、墓があるから入れてくれもかなりもめます、出来ない時があると思っていただいていいと思います。

 追記2-1:遺言書を書きましょうっていう意見もありましたが、この血縁でも何でもないケースでどうにかなるのは、財産の部分だけです。結局死亡届を出す権利もないし、墓を相続するのも困難だし、遺言書書いて何ができるの?っていったら財産分与ができるだけです。

 追記2-2:遺言書を書いて財産分与ができたとしてもそれは遺留分で親族と争うことになるためそういう手間暇に見合うだけの額かどうかが争点になります。遺言書があれば何でも通るパラダイスにはなりません。

*1:「終活」作法の類でも、これは今後、いやすでにもう実用的に役に立つtipsになっているかと。