職場をまわす〈リアル〉・メモ

 地元在住の写真家藤井豊君が、暗室で使っていた冷風扇と食料を届けてくれる。震災後の東北縦断行脚の経験から、疲労時には取り敢えずカロリーメイトで持たせろとのアドバイス


 アマゾンの倉庫労働での近況をたっぷり聴く。意外にも、働き易い職場だとか。スナック経営でオヤジ客のあしらいを見事にこなしてるようなタイプの姉ちゃんが、要所要所で采配をふるっていると。彼女たちは、職場を回すリアリズムを心得ているから、すべて藤井君に都合がいいわけではないが、それも含めて結局職場はうまくいく。その様子をアマゾンのスタッフは逐一観察しているが、彼女たちの仕事ぶりを見て、やり方をシステムの段取りに、人間ごと取り入れてる節があると、「妹の力」を熱く語る。


 藤井君の話。無理に働き手の能力ボトムアップを目指すと、生産力が上がる前に人が潰れてしまう。しかし仕事の維持を考えると、常に無理をかけないわけにはいかない。それを前提に場を保たせるめくばりと采配が絶妙。現場を共にする者同士の相性を観察、悪い化学変化がおこっていたら、躊躇なく配置替え。現場の都合vs個人の都合が常に6対4くらいで維持される。これに対して余計なフォローはせず、しかし個人が0になることはないのが納得できるので、文句はでないと。
この実感、介護や医療の現場の女子を見ていても強烈にある。現場は圧倒的な人不足で、基本みんなヤンキーメンタリティ。僕が、父が家族いがいのシモのせわをこばんでる旨話すと、「そうなのせうなのー」と受け流し、かつ適当に終了。最初は父をあわれんだものの、却って元気になっていった。気をつかわないやさしさもあるのだ。


こうした現場を支える妹たち共通の口癖「事情もろくにしらないて、外ばかり気にした口を挟まれると、仕事が10倍増えるんだよ!」


アマゾン女子は、外から目線に閉じたアマゾン告発本に腹を立てている。施設や病院の看護師たちは、思い込みの生命尊重で現場を邪魔するマスコミやクレームに腹を立てている。藤井君は、国の助成金目的の、アート振興のずれっぷりと無責任に本気で腹をたてている。そして香港デモへの、象徴頼みと官僚臭い語り方に腹をたてている。俺はBLM状況への、主義先ありき発言の傲慢に腹をたてている。つまり、現場の遠くで、思い込みだけでごたく並べる無意識な官僚的の官僚臭さに疲れている。