洋画吹き替えの技術者回顧・メモ

今のテレビマンは理解できないかな。
昔、地上波各局がゴールデンタイムに「洋画劇場」を置いていた頃は、吹き替え版こそが番組のオリジナリティだったので、同じ映画でも吹き替えは各局が独自に制作してました。映画担当者同士は仲良しだけど、他局版を使うのは悔しい、という感覚でね。でもそういう感覚はテレ東には無くて、他局版を有難く使ってました。そもそも他のキー局が争奪戦をするような映画は、何年も後でないと買えなかったし。


ただ、他局が買わないような映画の方が多かったので、独自に吹き替えを作るしかなく、結果的に制作本数は他局よりずっと多かった。吹き替えの制作費は局に関係なく決められているので、テレ東も他局と同じ予算を使ってました。なぜこんなB級映画にかくも豪華な声優陣が?という現象が起こるのはこのためです。


今夜の『トップガン』は「木曜洋画劇場」が最後に新録した吹き替え版でしたが、クオリティ的にはフジテレビで放送されても何ら問題はなかったはず。それでもひと昔前までは「テレ東の吹き替え版なんか使えるか!」というのが他のキー局の感覚でした。時代は変わったなあ、と感じた次第。


「ひと昔前」から映画番組を担当し続けているテレビ屋は、とうとう日本で俺一人になってしまったようで。後を継ぐ若者もいないので、局オリジナルの吹き替えを作り、前解説をつけて放送する「洋画劇場」スタイルをダラダラと続けているわけです。BSだけどね。

アニメで第二次声優ブームが起きる前、
洋画吹き替えで第一次声優ブームが起きた頃ですね。