オキナワ、の現在

 沖縄は正直、ヤンキー&体育会系文化天国で、文系文化砂漠なんだよなぁ。カチャーシーやエイサーは派手に報じられるけれど、琉歌の意味を理解してる人はほとんどいないし、いてもリスペクトされない。太平洋戦争以前の地元歴史も興味がない人がほとんど。せいぜい「薩摩嫌い」程度。


 80年代まで、休み時間に本を読んでるだけで「ヤマトフージー(本土のマネ)」としていじめる対象になった。今はそういう事は無い、と聞いてホッとしたりしている。ところで一時有名になった「姉妹制度」ってのはあれ、本当のことだったんだろうか?女子校ならわかるんだが


 そんなわけでそういう沖縄の「雑さ」の象徴である「だーる」「ばーよ」「○○さー」が私は大嫌い。今アニメイトがあったり、上手くいけばリアルタイムで劇場アニメが上映される現状は「よくなってる」とは思うけれど、本質の部分で上の世代は変わってないから、今の子達は今の子達で大変だろうなあ。


 「カミカゼの邦」や「うらにわのかみさま」「あそびにいくヨ!」とか自作で沖縄を描く時はそういう「広告代理店が喜んで広げそうな楽園沖縄」じゃない沖縄を描いているつもり。メディア化するとき「沖縄訛りは不要です」としたのも「面白おかしいイントネーション」でテーマがぼやけるのを避けるため


 おかしなイントネーションって早い話、「日本語のマネをしている面白い何か(穏当表現)」扱いなのですよ。沖縄の地元お笑いで、そのイントネーションの面白さだけで本土に討って出て、それ以外の「芸」がないのであっさり戻ってきた人たちがいましたが、訛りのイントネーションの面白さは芸ではない


 元々あのイントネーションは沖縄方言を普段使いしている古い世代が、本土の人を気遣って標準語(※現在は死語)を喋るからこそ生まれる「必然の産物」で、普通に標準語を読み書き出来て話せるなら、ないに超したことはないわけですよ。


 ついでに言うと沖縄県民は「ちゅらさん」ブームまで「人なつっこくって明るい」ではなく「恥ずかしがり屋で寡黙」「外の人には朴訥でとっつきにくい」と言われてました。コンサートの盛り上がり具合がわからず、相良直美がそれを教えながら演奏したり該当インタビュアー泣かせの県として有名でした。


 「ちゅらさん」で演じやすいように作った「○○さー」「○○ばーよ」などの単語が「正しい沖縄県民らしさ」として逆輸入されて、「共通ルール」として定義されてしまった。数十年前に大阪で起こったことと同じ。今の沖縄県民イメージは「作られた物」です。


 「暗く寡黙で外から来た人に一線引く」「内輪で通じることが多すぎて、外部への言語化がめんどくさいのでろくに外の人と話さない」「電車がないので時間通りに動けない」よりは「話が合わないほどのんびりしたテンポで生きてる」「言葉使いが独特」のほうがポジティブで、大方の人は放置してますが。


 実際に沖縄に移住するとこの隠されてる部分が牙を剥くし、実際には物価は関東と同じか、ソレよりも高いのに給料は安いため、南方天国と思って移住して、帰って行く人たちも多いです、というか、引退してお金がある人以外は移り住もうとは思わない方がいい辺境の地です、ここは。本だって一週間遅れる。


 親のことや色々があって、私はもうこの土地から(多分死ぬまで)動けませんが、若い人でセンスある人はドンドン本土、特に東京に出て行った方がいいと思います。あるいは東京で確固たる仕事を得てリモートワーク出来る場所としてならば。ここは「たまに帰ってくるにはいい場所」ですから。


 沖縄出身の漫画家さんもいればライトノベル作家、一般向け小説家もいるご時世ではありますが、それにしても地元本流通の冷たいコトよ。たまに売り場責任者が頑張る以外、「地元出版社作品じゃないと」とか「地元らしいPNじゃないと」とかいって「沖縄作家フェア」から外すのは間違いだと思います

 宮城賢秀先生なんて著作数冊超えるのに「B級娯楽ばかり」&「沖縄を扱ってない」という理由でハブられてるのはおかしい。これはアニメ関係者も同じ。監督も作画も声優の人もガン無視。沖縄出身どころか在住の人出さえも。スポーツ関係ならどんな下積みでもクローズアップするのに。


 お笑い関係が例外的にクローズアップされやすいのは、近年、吉本資本と結びついてるのもありますが、元からその系統の人たちは古くからの沖縄芝居の系列だったり、どこぞの地主だったりと「太い実家」があるためです。中には近年、親の事業を引き継いで二足のわらじを履く人も多いので、余計に。


 なので、沖縄地元のお笑い文化に「洗練」はありません。才能のある人は本土に出て行ってしまいます。まあ、笑いに限らず、すべての芸ごとは地元の身内で褒め合ってるうちは、上にあがるはずはありません。ある日「上から来た誰か」が選んでくれるのは夢物語でしかないです。


 一度地元の小説大賞の審査員をしましたが、数年連続、地元放送局のライターが応募してきていて、私が最初にやったのはその人に賞を与えることではなく、「あなたは地元じゃなくて本土の小説大賞に応募しなさい」と引導を渡すことでした。


 今のご時世はなろうやカクヨムにpixiv、Twitterを初めとしたSNSYouTubeTikTokなど「外に向けた」発信装置は山ほどあるので、腕に覚えがあるなら「名無しの東北県人」先生みたいにそこから直接収益化を狙うのもいいし、小さく小さくやるんじゃなくて、もっと広い場所を目指しましょう……と自戒含め


 最後に一つ。「沖縄県民」ってのはここで生きて暮らして(あるいは働いて)、法に触れることをせず、ちゃんと家賃光熱費と税金支払ってる人たちとその子供たちのことです。姓名や人種、国籍祖先を問わないようにしておくんなさいな。