震災時のジェンダーバイアスの記憶・メモ

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#東日本大震災を忘れない


 「男はいざとなったら女を助ける」が嘘だとはっきりわかったのは311の時。当時新人だった私は会社のビル(東京)にいて、福島から遠く離れていたが激しく揺れたのを今でも覚えている。でも大きな揺れが収まった後、関東では他のオフィスでも結構そうだったと思うんだけど、


 みんな引き続き働いてたんだよね。一部「避難しなくていいんですか?」って声を挙げる社員がいても、正常性バイアスが働いてしまっていたんだろうね、ほとんどの人が何事もなかったかのように業務を続けていた。私も上司(男性)に避難するべきでは?こういう非常事態の時、誰が指揮を執るのか?と


 質問したが無視された。その上司は黙々と仕事を続けていた。オフィスのテレビを誰かがつけて、仙台が津波に呑まれる衝撃的な映像が流れていて、それを見ながら仕事をするという…。外国の災害ニュースを見ているかのような「他人事」感があった。私は怖くて、まだ余震があるかもしれないのに、と、1コ上の先輩(男)に「みんなおかしくないですか?」と言っても、「九鬼って意外と怖がりなんだねハハッ」と笑われる始末。え……オカシイのって私のほうなの??と何とも言えない疎外感と恐怖を感じていたその時、隣のチームの女性陣がヘルメットをかぶり防災バッグを持って逃げ始めたんだよね。


 そのチームは女性メンバーが半分以上いるチームで、私のチームは男性ばかりで女性は新人の私一人だった。私は瞬間的に「一緒に逃げずにここに男達といたら死ぬわ」と思って、机の下に常備してあるヘルメットと防災バッグを掴んで一緒に逃げた。


 ビルの外に出て、比較的安全な開けた場所で女性同士お互い声をかけあって気持ちを落ち着かせた。しばらくすると、男性達がめんどくさそうな表情でビルの外に出てきたんですよね。いかにも、「大騒ぎして逃げるから仕方なくついて来た。けど面倒くさい。仕事も溜まっているのに」という風だ。


 実際私を笑った1つ上の先輩♂はそんなようなことをブーブー言っていた。この時私はものすごく反省した。いざとなったら男は一切頼りにならない。女同士声をかけあって、逃げなきゃダメなんだと。たまたま東京のオフィスで無事だったというだけで、場所が場所ならビルが倒壊して助からなかったかもしれないと。女性同士で逃げたタイミングなら助かっても、大人しく男性社員と一緒にビル内に残っていたら死んでいたかもしれないと強く思ったんだよね。


 男は頼りにならない。男は男のリーダーの誰かが「逃げろ」と命令してくれるまで正常性バイアスに従ってそこを動かない。あの日そうハッキリわかった。


 もうすぐ311から12年経つ。この頃になるとあの時先陣を切って逃げてくれた隣のチームの女性を思い出す。この学びは彼女のおかげ。きっと、同じような正常性バイアスのせいで失わずに済んだ命、ケガをせずに済んだ人、きっとそういう人が沢山いたんだろうなと思う。


 男性達に言いたい、いざとなったら我々女性と一緒に逃げましょうと。大げさだったと、後になって笑いたければ笑えばいい。でもまずは、逃げましょうよ。男性リーダーの命令がなくても、自分の意志で逃げていいんですよと言いたい。


 いざとなったら女を助ける、なんて設定もうどうでもいいからさ…。なるだけ早く、より安全なほうへ逃げようぜ…。ってのと、冷静を装いたい、そういうバイアスがかかるのはわかるんだが、逃げようとする女性の邪魔だけはせんといてくれ…頼むから。


 言うまでもなく、女性のみなさんは、女同士声をかけあって一緒に逃げましょうね。男達は動こうとしない。本当に。男のリーダーの指示を待っていてはダメ。死んでから「誰も逃げろと言ってくれなかった」では遅いから。一緒に逃げましょう。安全な場所に避難して、支え合いましょう。