この時期この季節

 この時期になると、ご当地とは言え、少しは「あ、春っぽいかな」程度にゃ季節がゆるむ気配が感じられるようになる。

 陽射しが何となく暖かくなる(日もある)、でもって雪が溶け始めて(でもまた凍ったりもする)足もとに溶けた雪が水になった流れがちょろちょろし始める、鳥の声が聞こえるようになるし、建前や普請の音、それこそ太宰じゃないが「トカトントン」系の響きが耳につくようになる。

 雪が積もっている間はあれ、雪ってブツ自体が吸音材みたいなところがあるのか、とにかく静かなんだが、溶けてきてそれが少なくなってくるといろんな音が聞こえてくるように感じる。いや、冬場はご当地、除雪車輌の音などを別にして、道路であれ家屋であれ建築建設系の作業はほぼ進捗が期待できないわけで、そういう仕事自体も少なくなってるんだろうし、そんなこんなでこの季節になると急にいろんな物音が意識されるようになる、そんな気がする。

 クルマの運転もまた、何となくうかれてくる。要は荒くなってくるみたいなんだけれども、それがいかにも若い衆の乗り回してるようなクルマだけじゃなく、見るからのオバサンがたの軽やらジジババのプリウスやらまでもが一律に、若やいだ挙動になってくるし、何より一気に外へ出てきてにわかに渋滞個所が増える気も。