香港事情・メモ

 中国大陸の経済成長は目覚しいものの、海外投資家は大陸の不動産や証券に直接投資でけん。その代替として香港の不動産等に投資するために大量の資金を香港に持ち込んだ。中国大陸の富裕層も当局に財産を捕捉されるのを嫌うて、香港に大量の資金を持ち込み、高い値上がりが狙える香港の不動産を買うた。


 香港にはその経済規模に見合わない大量の資金が流入し、銀行の資金量は「洪水」状態になった。でも、サービス業への構造転換が進んで、香港企業には設備投資の資金需要などなくなっていたし、中国のWTO加盟で中国から香港を通じた貿易も細っていき、貿易融資の需要も減っていた。


 それでも、アホみたいな量の資金を抱える香港の銀行は融資をして利益を出さなあかん。企業の資金需要が細い中で銀行が飛びついたのは住宅ローン。ただでさえ狭く、住宅が不足気味のこの街では、不動産は大幅に値下がりしにくいから、当然と言えば当然な選択。


 その結果が、15年にもわたる超長期のバブルとゆう訳なん。で、そのお金は他のセクターの企業に行かんから、その従業員の給与は上がらんし、店舗等の賃貸料高騰で日常必需品の物価も上がる。一般市民にとってええことは少ない。


 まあ、結局は需要がないとこに大量の資金があっても、投機に向かうだけで、民生には却って害悪をもたらすリスクのが大きいのん。


 で、需要がないところでの異次元的な財政緩和も同じ害悪につながりそう。(日本の場合はその資金がタワマンに向かってるのかな?)


 でも、香港政府がその資金を公債発行によって市場から吸収して、地元企業のための需要を創出する財政支出をしてたら、事情は違てたかも…


 ただ、香港政府は香港基本法で収支均衡を義務付けられてるし、ミルトン・フリードマンから「自由放任経済の優等生」なんて褒められてたりしたので、ケインジアンなことが非常にしにくいのん。


 その結果は、民生が投機に振り回されるゆう不健全な状況の恒常化。自由放任経済や「小さな政府」の厄介さをここ15年くらいの香港は示してくれてるんとちゃうかな?

 で、もうひとつおもろいことに、香港の不動産バブルをマネー面から見る人が香港には少ないのん。宗教的なタブーか?ゆうぐらい触れる人がおらん。不動産の需給や政府とデベロッパーの癒着疑惑ばっかり話題になる。せやから、バブル、15年経っても収まらん…