海軍士官の恋愛、キリスト教・メモ

 私以外の本にも登場するような志願兵出身の著名な搭乗員で、戦争中大切に持ち歩いていた聖母の画を見せてくれた人もいたし、べつにそれで海軍の中で迫害されたりはしていない。


 あと、戦争もののドラマの企画で時折耳にするのが「貧しく無学な少女と海軍士官が結ばれる恋」、これはあり得ない。海軍士官の結婚には海軍大臣の許可が必要で、身元調査もあり、最低でも高等女学校を卒業した良家の子女、平たく言えばお嬢様でないとダメ。現代とは違うのだ。


 また、海軍士官は遊ぶときは玄人さん相手が原則で、素人の女性に手を出すことは全くないとは言わないが、もしあればクラス会を除名されるぐらいの結構大変なことだった。繰り返すが、現代の価値観で見てはいけない。同期生の出征中にその奥さんに子供を産ませてしまった士官を知っているがこれは例外。


 ある海軍士官の婚姻許可の書類を見たが、所轄長から海軍大臣まで偉い人の印鑑がこれでもかと言わんばかりに押されていて、相手の身元調査もあり、大変な面倒だと思った。下士官兵は所轄長の許可でいいが、相談を受けた分隊長が相応しくないと判断し、相手に断りの手紙を書いて出してしまった例もある。


 相手が水商売系の女性の場合、ほぼ絶対に婚姻許可は下りないが、稀に物分かりの良い上官が、女性を自分の養女として籍を入れ、その上で部下の士官に嫁がせた例はある。ただそれも中佐まで。大佐になれば、大戦中でも芸者と再婚した例がある。偉くなれば自己責任か。


 あと、相手が芸能人や、身内に共産党員がいるような場合も婚姻は認められなかった。あれこれ煩いことだが、このことを現代の視点で責めても始まらない。