カイシャで働く会社員ということ

続)「親が会社員じゃなかったからカイシャがわからない」と言う人たちがいて、本人も自由業だったりする。私の目には彼らのほうが、いい加減に見えて締めるとこ締めてたり、営業や飲み会や商売全般が得意だったり、「会社員だった親がとうとう定年まで到達できなかったっぽい域」を生きてると見える。


続)幼い私は「親がカイシャをクビになったら一家で飢え死にする」とガチで信じてたし、自分が会社員になれたときは心底ホッとした。辞めた今もどれだけ別の肩書が増えようと心のどこかで「今はカイシャを休んでる時間」と捉えてるフシがあり、きっと一生続く。この呪縛から自由な人生が想像つかない。


続)この「今はカイシャを休んでる時間」って感覚が可笑しくて、私はもう人生においてフルタイム正社員でいた年数のほうが短いのに、それでも一生続く予感がある。実際に会社勤めが長い人には想像つかないのかもしれない。「今は女子校を休んでる時間」とも似てる。こっちはさすがに相対化されてきた。


続)甥姪たちは今のところみな会社員の子で、私という伯母やその配偶者のことを「アリとキリギリス」のキリギリスだと思ってるのは間違いない。私も自分の伯父を見て「有事には真っ先に死ぬな」と思っていた。でも逆だよな。うちの親には会社員のダメさがあり、私はそのダメさをきっちり受け継いでる。


続)私は「会社員」についてしか語れないが、公務員や士業や他の資格職についてもそれぞれに「ちゃんと」や「ダメ」があるのだろうし、子が自分と同じ道を行くとなれば、ダメさを削いでちゃんとした部分だけを継がせたいのが親心だとも思うが、まぁ、そんな簡単にロンダリングできるもんでもないよな。


続)「人生における女子校で過ごした時間」「人生におけるカイシャで過ごした時間」の占める割合はどんどん少なくなっていくのに完全にその呪縛から自由な境地に至り「転換させて見る」まではかなり年数が要る。海外で家族を作り「人生における日本人として過ごした時間」と格闘してる人もいるだろう。


続)表現が難しいんですが、大人になって一匹狼のインテリヤクザみたいな山師っぽい人(?)と知り合うと、「私が親の背中を見て目指した幻の『ちゃんと働く』山の頂点に君臨するのはじつは彼のような人なんだよな」と考えたりする。カイシャが数百名がかりでやってる同じ仕事を独りでやってたりする。


続)じゃあその世渡り上手な奴が「正しい」かというとそれも違う、幻の「ちゃんと働く」山頂をハックするには彼の選んだリスキーな登山道が「賢い」のだろうし、だから彼の有料オンラインサロンが大人気なんだろうけども、でも私が問いたいのは「そもそも我々はその山に、登りたかったのか?」ですよ。


続)カイシャを休んでる時間、どんどん長くなって、何がいけないんだっけ……? って話です。BIに手放しで賛成はできないが、そこ考える時間くらいは最低確保されたい。そして考えると、BIだけじゃ絶対ダメだろうなと思い至る。日本社会で実質BIみたいな働き方をマトモと信じ込んでいた元子供の私は。


続)私は会社員の子なので、華やかな業界にいた若い人が突然仕事やめてフラフラしはじめると「あんな遊び歩いてて食えるの?」と心配になるけど、じつは華やかな業界にいる間のほうが華やかに支出も嵩んで火の車で、穏やかに食ってくだけなら上手な引退が一番だった、みたいな事例も多々あるんだろう。


続)会社員と医者と教師しか知らなかった子供の自分に、「そんなにビクビク心配せずとも最低限働いて最低限食ってくにはカイシャ以外の手もあるよ」と教えてやりたいところ、だが、あの子がいたのはバブル期……今の東京で甥姪に「心配するな」と言う自信が伯母にはない……やはりBIが大事なのか……。

私は会社員の子なので、内弟子とるような職人制度の後継者育成が上手く回って擬似家族化するようなサークルを見ると大変めちゃくちゃ麗しい隣の芝生だなと憧れてしまうのですが、一方で自分は社員旅行の誘いさえも煩わしく、まったく人間はないものねだりでありますよな……。
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なんかねえ、こういう小規模な群れってそれ自体が一つの家族になるんですよね
家族的経営みたいなのじゃなくてね
親方の子供は弟子たちの兄弟として一緒に育つみたいなとこがある
俺が婚姻以外の家族形成という話にこだわってるのも、そういう風景を見てきたところはあるんですよね twitter.com/koshian/status…

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続)子供の頃、大企業の社宅に住んで同世代の繋がりを持つ幼馴染が羨ましく「うちも社宅がよかったなぁ〜」と言ったら両親が一瞬で「死んでしまう」って顔になったのも忘れられない。大人になった今ならわかります、私は紛れもなくあなたがたの子です、父上は私の父上なのによく勤め上げたよな会社員。


続)で、「カイシャ……我々の人生におけるカイシャとは何かが解き明かせれば、もう少し生きやすい社会が実現するのでは……」などと主語を大きくしかけたところに、幼馴染の芸術家の子とかが「部長と課長ってどっちが偉いの〜?」と訊いてきて目が覚めたりする。みんなが会社員の子だなんて思うなよ。

よくあちこちに書いてますけど、私は高校時代ファミレスでバイトしたとき生まれて初めて「同じ職場で同じ釜の飯を分け給料を貰い恋バナをする体育会系擬似家族ノリ」を体験し、一時期は完全にソッチの人間になりかけたのだが、人に恵まれないとハマるのが難しいよね、あれは。
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や、わかるはわかるんですけど、私は兄貴分も姉貴分も弟分も妹分も行きつけの飲食店やオタク趣味仲間などで見つければ十分で、月給を貰って雇用関係の企業組織にそんなものまで「あてがわれる」(流行語)仕組みが耐えられないんですよ! 幸福な職場結婚した友たちの手前あんま強く言えないけども!笑

改めて書くとアホみたいだが、この話はこうして別の立場の他の人たちが語り始めてくれて初めて「親の仕事形態を子供は意識レベルで引き継ぐ話」という一階層上のものになれる。私一人で書くうちは「会社員の子に生まれて会社員以外の働き方が想像しづらかった話」でしかない。
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岡田育さんの親の仕事形態を子供は意識レベルで引き継ぐ話、わかるな。俺は母が自営の建築イラストレーターだったから、子供の頃から母が図面おこしたり着彩して取引先の電話に対応するのを見て、「仕事」を覚えたし今実際に同じようなことしてると思うもん。

続)私がする「自分語り」は大抵こうして「他の誰かが同じように語り始めるのを待つ」ものである。自分語りだけだと自分語りにしかならないのは、自分が一番よくわかっている。他人の自分語りが読みたくて、自分の話ばかり書いているのだ。先に食券を買うようなものだ。手番を渡して待つようなものだ。


続)とはいえクソリプは要らんのだ。新聞投書欄しかなかった時代と違い今はみんなめいめいプラットフォームが持てるのだから、よそのスレッドになんかブラ下がらずご自分のところでやっていただきたい。黙々と手元で語る人たちの営みを、私は嬉々として読みに出かけていく。エゴサーチなどを駆使して。

読んで思い出したのですが、うちは母が子育て終えてから「ギリギリ赤字が出ない程度に」仕事を始め、私はその背中を見て「自分で自分の仕事を作る」って楽しそうだなと刷り込まれたようです。でもサラリーマン兼業じゃないと到底無理だなとも思ってました。父母ハイブリッド。
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母が自営業・父が会社員ですが、わたしは店を手伝ってたのもあって自営業が刷り込まれてて、最近他の自営業育ちの人の本を読んでて自営業マインドってあるなあと思ってたところでした。大学卒業後に会社員してたときはカルチャーショックが多々ありました。

続)カイシャをそのままベーシックインカムに置き換えることはできないが、私は「会社勤めさえできていればマイホームも夢ではないぞ」という土台の強さがある時代に助けられたサラリーマン家庭の子で、大成功も大転落も経験せず恵まれていたが、代わりに会社員マインドを刷り込まれたんだな、って話。

そりゃ、ありますよー! 私はおそらくどこかのタイミングでお金にまつわる知識について老親を上回ってしまい、といっても私だって全然詳しいうちには入らんのですが、小学校のとき算数の宿題を教えてもらえなくなったときと同じ寂しさを感じましたね……会社員ふしぎ……。
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うちは父親が中小企業の社長で、私がフリーランスで働くってなった時に年金、確定申告、などなど基本知識のサポートしてくれたんだよなー。同じく自営業パートナーの親も会社員でないので、やっぱり親の影響はあるんだろうな🤔 twitter.com/okadaic/status…

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