パキスタン事情断片・メモ

 パキスタン生活のおかげで割と度胸ついてしまったのだけど、犯罪系でこれは本当に危ないなと思ったことが一回だけある。パキスタンに進出したい日本の中小企業があって、そこの社長が日本在住のパキスタン人社員(以下パ社員)と一緒にカラチへ来た時、現地法人作る為の相談に乗ってと会ったのだけど→


 そのパ社員が紹介した弁護士曰く、法人登記は1500cc以上の車が必要、日本人は法人口座は作れない為パキスタン人名義の銀行口座を使う必要がある。など、全部が嘘だらけ。さらに登記住所もマフィア地域でカラチの武器庫と呼ばれる地域だし、カラチに来たのに弁護士が不在で社長はまだ会ってもいない→


 「その弁護士、大丈夫ですか?今のところ全ての情報に誤りがありますけど...?」と言ったら社長は困惑。パ社員も「えぇ?!じゃあ彼は嘘をついたのか...なんて悪いヤツだ」と自分も騙されたフリしてたけど、いやいやお前ら仲間ってか、そいつお前じゃん...さっきから話の辻褄絶妙に狂ってるじゃん...→


 その後もその架空の弁護士の話をしつつ、話の流れはパ社員の、昔はオレもヤンチャだったぜ自慢になり、銃の話題へ。パキスタンでは許可証があれば個人でも武器屋で銃は買えるし所持もできる。ただ申請者の多くは政治家や政府高官/軍/警察幹部や富裕層など狙われやすい立場にある人とその家族と運転手→


 市民レベルで銃を持っている人は護身用名目でもほぼ無許可だし闇で買って祝砲か遊びで動物を撃つか。でも遅かれ早かれ家庭内にしろ外にしろ何らかの別の犯罪に使われる。路上強盗とか。すると「実は...大臣から特別に許可を得て持ってるんですよ...」とパ社員が腰に隠し挟んでいた拳銃を見せてきた→


 社長は「すごい!大臣からの許可?!」と“特別な人脈をもつ”社員に興奮気味だったけど、その許可証は大臣名義では発行されないし、そもそも彼がそれを得たという時期、シンド州政府は許可証の発行を禁止してて、その担当省に友人いるから詳細知ってたけどパ社員の言うこと、とりあえず全部が嘘なのね→


 とりあえず危ないなと思ったので面会を早々に切り上げて彼らを送り出し、社長を先に車に乗せたら、パ社員が「女性1人で起業してカラチで生活するの大変でしょう?いつでも僕や仲間が守ってあげるから安心して」と言いながら、ジャケットの上から腰の拳銃を軽く叩いて、その後私の肩を一回軽く叩いた→


 ありがと!って笑ってやり過ごしたけど、アレ、明確な脅しだったよね。余計なこと喋るとどうなるかわかってんだろな。っていう。仮にパ社員が動いても本人2日後には日本へ戻るし、カラチじゃ腕1本は3000円位で依頼できる。外国人の私じゃなくて私に近いローカルなら問題にならないから狙うなら運転手→


 外出時に一緒に行動する運転手が一番狙われやすい。つまりアリーさん。同時に車か家。一応アリーさんに注意喚起すると、本人は大丈夫大丈夫!って言ってたけど、3日目に店から帰ろうとしたら店の前に停めてたうちの車、タイヤがナイフでぱっくり切られててアリーさんも「...大丈夫じゃなかったね」→


 その社長には全不審点をメールし、パ社員が今回用意した滞在先はガチで危ないし何かあっても領事館に駆け込めない距離なので、次回からは領事館に近いホテルを推奨、あと私はこれ以上関わりたくないし、本気で海外進出したいなら自分で調べるべきだし、彼とは円満に縁を切るべしと伝えて終わった→


 これは親切心のメールじゃなくて、マフィアの巣窟エリアで鴨がネギ背負って呑気に過ごしてて、万が一犯罪に巻き込まれた場合、日頃から行動制限して防犯対策しながらカラチで命張って仕事してる他の日本企業の迷惑になるから危機感持って。という意味だったし実際それはメールにもストレートに書いた→


 まぁ、一個前のツイートでまた治安悪化するのか...と思って思い出したのと、このレベルの人にも日本のビザ出ちゃったのか...と思ったし、もし偽った危険因子がこれからも日本に入るとしたら、騙されやすい日本はどうなるんだろな....ってもやっとしたよって思い出話で、特にオチはないです🙄


 あ、世界中どこでも自分を守れるのは自分だけですし、パキスタン人が危険なんじゃなくて特定の層と関わらなければパキスタン人、ピュアで良い人が圧倒的に多いです。縁もゆかりもない国でしたが、すっかり彼らの持つポテンシャルに魅せられたので、私はまた戻りますしあそこで骨を埋めるつもりです😃