参政党のマーケティング戦略・メモ


 はっきり言えばマーケティングは参政党が圧倒的に上手い。何やってたかだいたい調べさせてもらったけれど。あれは良くも悪くもプロがやってる。倫理的にやるべきじゃない手法も使っているけれど。でも、少なくとも素人考えではなく、ちゃんと知識も技術もある人が実装してる。ちゃんと専門家が専門知と経験に基づいて展開を作ってる。ネットもリアルも相互に接続して、バラバラの個別施策ではなく、総合的なストラテジーとして実施してる。チャーチマーケティング戦略とか、国内じゃ特定の業界でしか使われてないような手法も、たぶん使ってるよ。


昭和52年10月12日、福井県高浜町生まれ。若狭高等学校、関西大学文学部卒、関西大学法科大学院修了(法務博士、専門職)○平成19年4月、大阪府吹田市議会議員選挙に立候補し、初当選(2期)。地元では地域政党を立ち上げ、大阪府下の地方議員らとは、教育分野への提言団体である「大阪教育維新を市町村からはじめる会」を発足。平成21年、超党派の地方議員らでつくる「龍馬プロジェクト全国会」を発足し、以来会長を務める。平成25年、イシキカイカク株式会社(現商号)を設立し、政治や歴史、経済をテーマに各地で講演活動やインターネット番組配信に取り組む。令和2年4月、参政党を結党○現在参政党副代表兼事務局長○主な著書は、『大和魂に火をつけよう』『坂本龍馬に学ぶ「仲間をつくる力」』『子供たちに伝えたい「本当の日本」』○元高校講師、元陸上自衛隊予備自衛官三等陸曹(参議院議員就任により退職)

 既存勢力は、ネットが上手い国民民主党でも「ネット+リアル」の足し算。でも参政党は「ネット×リアル」の掛け算が機能するストラテジーを使ってる。今、「ネットかリアルか」で引き算のケンカをやってると、野党第三党は参政党になると思う。そのぐらい戦略に差がある。


 確証はないけど、彼らはまだKlaviyoやGurucan、Getresponse、Activecampaignみたいな、チャーチマーケティングストラテジーに強いSaaSは使ってないと思う。でも、こういったSaaSの国内進出はもう始まっているし、彼らがこれを手にしたら、今の何十倍ものスピードで勢力を拡大しかねない。既存政党はこれをちゃんと認識して、もう「インターネットのある昭和」から脱却して、世代や性別に関係なく、ネットとリアルを掛け算で使えるストラテジーに転換しないと。そうしないと、参政党に負けるよ。


(※今は無党派だからズバッと言わせてもらったぞ。今は無党派だからな。)


 今は無党派だからついでに言うと、「支持母体」というやつも人数だけで測ってはだめで。兵法で「兵力」と同じぐらい「士気」が重視されることを忘れちゃだめ。参政党の支持母体は士気で勝る。これもチャーチマーケティング戦略の特徴で、要するに一般的なマーケティングが「販売」と「顧客獲得」を目標とするのに対し、チャーチマーケティング戦略は文字通り教会とかで使われる、「信徒の獲得」と「教義の布教」に特化したスキームなんだよ。WEBだけで信仰は獲得できないけれど、生身の伝道師が「教義への理解を深める」プロセスから生身でやってたら物理的制約に阻まれるだろ。だから、WEBが適しているフェイズと、生身が適しているフェイズを上手く組み合わせて使うんだよ。結果として、運動論的に言えば、士気の高い集団が出来上がる。


 これを選挙で考えれば、「選挙は熱伝導」だろ。伝道力の低い100万人よりも、伝道力の高い1万人のほうが、結果として勢力を急速に拡大できるのは、直感的にわかると思う。そういうことを考えずに、「どこの組合に何十万人」だとか「どの世代は」「男性が女性が」とか。古典的なマーケット・セグメンテーション、とくに人口動態変数とかは、80年代90年代は通用したかもしれんけど。今はもっとライフスタイルと価値観が多様化しているから、当時のセグメンテーションで考えていたらだめで。「インターネットのある昭和からの脱却」ってそういうこと。


 でもおれは個人的にチャーチマーケティング戦略は好きじゃないし、政党がやるのはどうなの?とも思っているので、この戦略を既存政党がみんな採用しろとは思わない。でもコンセプトは参考にしつつ、民主主義のハッキングに陥らない範疇で、令和の政党マーケティングを構築しないと。


 今までのやり方で頑張って来た人たちを否定するわけじゃないし、きっとその人たちも、「今の時代にあったやり方」を模索していると思う。ただ、その答えを最も早く見つけ出して実践したのが、政治ではなく特定業界のビジネスから発展してきた(と言われている)参政党だったってことは、これは厳然たる事実だと思うので。既存政党のみなさんが、それを受け止めるか、それとも目を背けるかで、今後の政治は変わってくると思う。そういう岐路にあるとおれは思ってるぞ。


 以上!たまたま特定政党の関係者がFFに多いだけの、今のところ無党派のおれとして言わせてもらったぞ。無党派だからな。どの特定政党とも今は関係ないからな!


(じゃあどうすればいいのか?ってのは、おれもわからん。こういうのはネットから離れてフィジカルな感覚で考えないと空論になるから。案外、Webでうまくやるには、逆説的だけど「離れる」ことが大事なんよ。ネットの向こうにいるのは生身の人間だからね。)

 少し前、春先に宗谷地方に出張る用件があって出向いた時、稚内市内にやたらこのオレンジ色のポスターやバナーがあったのが印象的だった。と同時に、なんだろこのぁゃιぃ感じは、というのも強烈に。

 ここで言われている「チャーチマーケティング」というのがどんなものか、専門的なことは全くビタイチ知らんけれども、説明されている限り、その何となくイメージはわかる。わかりすぎるくらい、わかる。

 まあ、つまり、マルチやそれ系の集客手法を横文字にまぶした「捕まってないだけの詐欺師」文法のことなんだろう。

 民主主義政体における普通選挙を前提にして「政治」が駆動してゆく体制は、大衆社会状況以降、そりゃ当然かつ必然的にポピュリズムに足もとズブズブに喰いつかれるわけで、だからそれがマーケティングだの広報宣伝だのの戦略ときわめて親和性が高いというか、同じ手法で民心の動員をかけてくるのも、いまさら言うまでもなく。

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 ただ、昨今はNHK党やられいわ新撰組やら、いずれ同工異曲な、これまでの既存政党によって仕切られてきた「政治」の市場を、それら「捕まっていないだけの詐欺師」文法を敢えて(なのか、それとも素で無自覚に、なのかもしれんが)臆面なく駆使してみせつつ、あっぱれ中央突破で一瞬の勝ちどきをあげてみせる手法をとる「あたらしい政党」が立て続けに出てきてはいる。その程度に、ここでこの御仁が言うような「民主主義のハッキングに陥らない範疇で、令和の政党マーケティングを構築しないと」といういかにも小賢しげな煽りにも、耳傾けておくべき何ものか、は宿っていると思う。

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*1:その後、案の定、マルチ的手法が暴露されてきて、幹部級の脱退者なども出てきて、おさだまりの経緯になりつつはあるようではあり……bunshun.jp