30年前のNHK・メモ

 30年前のNHKは、ひたすら地味で真面目だった。画面を観た瞬間にNHKだと分かった。それだけの個性が有り、存在意義を感じた。やがてパリピの真似をするジミ子の様に不器用にウェーイし始め、いつしかCMの無い民放に成って仕舞った。


 民放には出資者が居る。出資者の不利益に成る様な放送報道は出来無い。だがNHKは違う。全受信者が出資者で有る以上、誰かの不利益を避けて居たら1秒たりとも放送出来無い。だから逆に、良心に従って誠心誠意社会の為放送する以外無い。そこが本来のNHKの強みの筈だ。そこは忘れて欲しく無いなと思う。


 NHKのあの独特のダサさ。ダサいけど、中身が詰まってて満足感の有る内容。そこが好きだった。無理して盛り上げたりし無い。
いつか観た紅白歌合戦。司会者がなんか不自然に盛り上げようとして、滑って居た。無理して話そうとして舌がもつれる引きこもりみたいで、痛々しく悲しかった。


 民放で売れてる芸能人でも、少しでも下品だったり、又は偏見が酷そうだったりすると「この人は絶対にNHKには呼ばれんな」と思ったし、実際そうだった。そう言う安心感が有った。逆に言えばそう言う人は民放でしか観られ無いから、民放の存在価値を生んで居る面も有った。


 爆笑問題NHKに頻繁に出始めた時には、かなり驚いた。NHKはこう言う人も使うのかと。確かに面白いけど、NHKのイメージじゃ無いじゃんと。でもNHKに居る時の爆笑問題は大人しく、いつも民放で観ているのとは違う人の様だった。「NHKだから」と言う力が、良くも悪くも働いて居たのだろう。