ゲームライター往時

 最初の頃のゲーメストのライターは原稿料と交通費をもらっていた。交通費は編集部に来るまでと取材の行き帰りのぶん。貧乏なライターは編集部に来るくらいならゲーセンに行ってしまうので、交通費が出るのが大きかった。交通費が出たからみんな編集部に来たしそこで情報交換ができて誌面の質が上がった


 会社が大きくなって経理が見直され、交通費は単独で出せないということになった。しかしライターの経験上、少額でも定額の収入があるというのは大きい。なのでそのぶんを専属料という名目で残した。定額の収入があることでいつも編集部に来られて、そこで情報交換や会議ができる。


 他の出版社と違うのは、ライターを囲い込んで常駐させ、そこでぶつかって出てくる意見を重視したこと。それが質の高さを生む。これは80年代のゲーメストの良いところを継承した形。それを報酬という形でシステム化した。ライターとして唯一社員となった自分の考えで推進して作ったので確かな話。


 これも何度か書いているが、専属料は人によって違い、査定で決まる。査定項目は細かく、原稿の質、締め切りを守れるかどうか、会議で有効な意見を出せるかどうかなどが考慮されている。原稿だけでなく、他の貢献度も考慮されていたのがポイント。


 このような報酬システムが活きていたから、「自分たちが雑誌を作っている」という当事者意識と編集部への帰属意識が生まれ、それが雑誌の内容に反映されていた。もちろん帰属意識は人それぞれで、他の編集部員とあまり交流せず「自分の得意分野だけ仕事としてやる」というドライな人もいた。