セーラームーンのインパクト・メモ

 「当時多くの男性向け同人誌が作られた「男性オタク受け」する作品であった」という記述があるが、パロディ・二次創作同人誌の歴史において『セーラームーン』は、久々に多くの男女のファンが同じ作品に熱狂した作品であることが重要なのです。

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 『うる星』『めぞん』等の男性同人ブーム、『C翼』『星矢』『トルーパー』等の女性同人ブームを経て、熱狂する作品が分化していく中、オタク全般に受けた『セーラームーン』が再び登場したというのが、大変インパクトがあったのです。


 また、「男性オタク受け」するのが異例と語る担当編集小佐野さんの述懐も紹介されていますが、『ミンキーモモ』『クリーミーマミ』『マジカルエミ』といった魔法少女ものが、女児向けの体をとりながら、男性オタクの多くの支持を得ていたという上での『セーラームーン』という流れもあるわけです。


 『セーラームーン』の多彩なキャラクターは、男性ばかりか、女性のオタクも魅了しました。ダークキングダム四天王やタキシード仮面を絡めてのやおいだけでなく、女性作家による主人公5人の二次創作も盛んに行われ。『S』になると、みちるとはるかの宝塚的な百合関係などが女性ファンを魅了することに


 同人的に『C翼』『トルーパー』と『セーラームーン』には、「個別のキャラは個性的で魅力的なのに、総体としてのキャラクターは癖が強くない」=「パロディ・二次創作しやすく、キャラの関係性を楽しみやすい」という、強力な共通点があります。


 分化したといっても、『C翼』『星矢』『トルーパー』等の女性同人ブームが男性サークルに影響を与えなかったということはなく、こうしたブームに触発されたうたたねひろゆきたつねこといった描き手たちが、セーラームーンブームとも相まって男性向け同人誌の絵柄のパラダイム転換を進めていくわけで


 そして、『セーラームーン』でのパロディ・二次創作においての女性作家の活躍が、その後のギャルゲー、萌えブームの源流のひとつ(もう一つはゲーム系パロディ・二次創作)にもなり、女性作家を中心としたその次の絵柄の革新につながっていくことになるのは余談。