とある夢、のこと・メモ

 あまり夢をみない、ということは自覚あるんだが、それもいい夢なんざめったに、ではあったのが、ほんとに珍しく寝覚めのいい、後味の気持ちいい夢を見たので、印象が褪せないうちに備忘録として。

 海岸の集落、なのだと思う。砂浜だったので。西南日本、おそらくは高知とかそっちの言葉だった、そこにいる人がたは。

 犬を飼って調教して、まあ、闘鶏とか闘犬といった賭け事遊びの類に集落ごと従事しているような雰囲気。婆さんらなどのおんなこどもも含めて全部がそれに関わっていて、それぞれが自分の犬を鍛えることに日々熱中している、と。

 知り合った子どもというか悪ガキに案内されて、その集落をウロウロしているような設定だった。わしの犬がこう、あいつの犬はこう、といったたわいのない犬自慢の会話がそこら中で飛び交っている。砂浜に葦簀かけの日よけを斜めにしたその影に、皺くちゃな婆さん衆が三、四人、しゃがんでしゃべっている。底抜けに明るく、かつ元気で声も大きい。

 絵になるなぁ、と思いながらその場の光景を切り取ることを意識しつつ、案内にしたがってあれこれ見て廻ったり、世間話して話しかけたりして、でもこちらはよそもの第三者の異人という設定ありありなので、そういうよそものに対する好奇心と警戒心とがないまぜになった、でも表面上はそれなりにソツのない商売トーク的なものになっていて、そのへんもまた西南日本海洋系民俗というか文化というか。

 遠くに馬もたたずんでいたような記憶も。これについては先の悪ガキではなく、年寄りがひとり解説者のようにそばについて歩いてくれていて、いろいろ説明してくれるのだが、言葉が不明瞭だったりなまっていたりでうまく聞き取れず、背の低いその年寄りの口もとにいちいちかがんで耳を寄せるしぐさを何度もしながら一緒に歩いた。

 目覚めたあと、ほんとに珍しく気持ちのいい夢だったという理由がよくわからないのだけれども、何かの原体験というか原風景みたいなところはあったのかもしれない、とか、ぼんやりしながらいろいろと。