トレース是非如何・断片

 最近、写真をトレースし自分の絵に仕上げた人の話題に触れ、思い出したことがありまして、以前あるインタビューの依頼を受け、出来上がった記事に自分が回答していない内容が書かれていて「これ話しましたっけ?」と不思議に思って訊ねると「文字数が足りずweb記事で見た内容を苦肉の策で入れた」と。


 あっけらかんとトレースしたと回答され、ダメでしょ、その記事は作成元が私に謝礼を出して取材して作ったもので、あなたは自分が作った記事を同業者に勝手に使われてもいいのか、編集長の意見を聞いてほしいとお願いしたところ、「同業者への敬意に欠けた行為だった」と編集長からすぐ返事がきました。


 驚いたのは「オリジナルのコンテンツだという認識を部下が持っていなかった」、自分が基本を教えていなかったからだ、と編集長が謝罪したことでした。そんなの常識じゃないのか、それを教えるのも編集長の仕事なのか、と衝撃を受けたのですが、今後はスタンダードな仕事内容のひとつになるような。


 いっしょにコーヒーを飲んだことしかない相手が、箸を正しく持てるかどうか見極めるような難しさがあって、そんなのわかりっこないから、性悪説で「わかってるとは思うけど」と全員にひとまずレクチャーするのが、大事になる前に危険の芽を摘むためにも必要なんだろうな、管理職大変だなあ、と改めて。