フェミとプロテスタント

 日本のフェミニズム運動やジェンダー学はほぼ英米フェミニズム英米ジェンダー学を無批判になぞってるだけ。彼らが挙げる固有名詞がことごとく英米フェミニストジェンダー学者であることからそれがわかる。で、英米フェミニズムジェンダー学というのは、プロテスタント世界で生まれたものなのだ。


 エマニュエル・トッドも指摘しているように、英米フェミニズムジェンダー学は、プロテスタント世界の女性蔑視、家父長制に対抗するものとして発展してきた反プロテスタント運動でもある。しかしプロテスタント規範を内面化した女性達による運動なので、やはりプロテスタント的な発想になる。


 それが強烈なまでのエロ嫌悪だ。マッキノンもドウォーキンも強烈な反ポルノ。ポルノが性暴力を助長するという説は現代においても証明されていないにも関わらず今でもフェミニスト達が何かと理由をつけてポルノが槍玉に上がるのは、プロテスタント的なエロ嫌悪思想が根底にあるのではないか。


 日本では何故かカトリックこそエロ嫌悪が強いと誤解している人が多いが(シバエリさんもか)、数年前にme too運動に対してカトリーヌ・ドヌーブらフランス人女性100人が異議を唱えた。フランス人の多くはカトリックで、カトリックにはプロテスタント的な女性蔑視やエロ嫌悪思想はない。


 英米フェミニズムジェンダー学に基づく運動の持つ独善性、自らを絶対正義と強烈に信じて一切の妥協を許さない原理主義的態度も、プロテスタントに通じるものを感じる。特にピューリタンか。だから、ピューリタンが建国したアメリカで特にそれが強くなる。


 日本でポルノ(二次元作品含む)廃絶や萌え絵批判をしているフェミニスト達は日本キリスト教婦人矯風会の思想を再評価、連帯している。矯風会プロテスタントピューリタンの婦人団体として始まった。プロテスタントのエロ嫌悪が思想の基盤になっているのだ。


 昨日このような懸念を示したのは、このスレッドで書いたようなエロ嫌悪やプロテスタント原理主義的態度まで安全保障とセットで連帯を迫られたら、たまったものじゃない、と思ったから。日本には馴染まないでしょう。