来日ロケのハリウッド仕事・メモ

 例のハリウッドで活躍してる日本人俳優さん、あまり良い役に恵まれず話題作にいっちょ噛みする事でしか存在感を示せないみたいだけど、そんな人を尻目に本日の午後は東京の某所でアメリカの大手配信会社の作品のオーディションに沢山の日本人俳優が参加いたします。


 もう日本では常時アメリカの作品が1本は撮影されている状態で、技術者の奪い合いが激しくなってる。こういう状況を作り出したのは配信サービスのフットワークの軽さもあるけど、安倍ちゃんの助力があったからこそでしょ。

内閣府】外国映画ロケーション誘致に関する実証調査の助成対象作品の発表 | 【VIPO】映像産業振興機構
www.vipo.or.jp

 そういう状況が続いているので日本人スタッフのスキルアップも著しく、一昔前の日本人スタッフは助手限定でメインスタッフはあっちの人、という状況が続いていたんですが、近作では「別班は監督から下まで全員日本人」って事もだんだん増えてきてますね。


 自分もそういう仕事を数多くこなしているので、当たり前に働いていますけど、だんだん「ハリウッドは凄い」とは無邪気に思えなくなってきた。


 たしかに制作費は多くて、それに準じてスタッフの待遇も良いんだけど、何しろ無駄が多すぎる。


 ロケハンで「ここで撮りたい」と言った商店街を、ちゃんとCGで「こんな風に飾り込みます」と見せて、それに合わせてセットを組み、電気の配線が終わってるのに「やっぱり隣の裏路地で撮りたい」とか言い出す。


 最近ではそういう事を見越して、少し多めにスタッフを用意したり、余分な大道具とか機材を用意するようになった。


 予定通りに進めば全く無駄になる予算が浪費されてる。


 「こっちには絶対にカメラを向けないから小道具を飾らなくて良い」みたいな約束が通用しないので、例えばスピルバーグみたいな即興的な監督の映画はあんなに予算がかかるのではないか、そんな風に疑ってる今日この頃。


 まぁ、結局あっちの映画は多くのスタッフを食わせるための【産業】なんだろうなぁ。


 たぶん「完全な無計画が祟って時間切れでスタジオを追い出されてしまい、同じセットを巨額の予算を掛けて地方の廃工場に建ててスタッフの宿泊費を余分に払ってシーンの続きを撮るハリウッド映画」と「一本の観葉植物を予算削減のために複数のセットで使い回す貧乏な日本映画」の間に正解があると思う。


 先週は地方の電鉄の地下駅を終電後にお借りして、大阪の地下鉄のシーンを撮影しました。

・二人がホームへの階段を下りてくる
・二人がホームで5行の短い台詞を交わす
・地下鉄が入って来る
・二人、地下鉄に乗り込む

だけのシーンが4時間で撮りきれず、再来週に再挑戦します。


 監督が途中で悩んで撮影が止まったのが原因。
 途中でプライベートリハーサル(監督と1st助監督と撮影監督と出演者だけでやるリハーサル)が始まってしまったので100人のエキストラと全スタッフはホームから退去する事に。全くの時間の無駄。


 ちなみにカメラ周りのエキストラを担当した劇団は、わりとこういう仕事に慣れているので「再来週も同じメンバーを同じ衣装で用意するからギャラを上げろ」という交渉に成功した模様なり。


 都内の空き倉庫にホームの簡易セットを組んで、一日掛けてリハーサルやったのにコレですよ。


 アホでしょw