拝啓、上野千鶴子さま


 上野千鶴子さんについて思う事いろいろ改訂版。若かりし頃、学生運動のただ中でバリケードの中に立て籠もりつつ、ひたすら同志のためにおにぎりを作り続ける日々。なお、ご本人はかなり自信があるようで「おむすびキャリア50年」と半ば自嘲気味に語られている模様。


 雑魚寝が当たり前の状況下で、ご本人いわく陰で「公衆便所」呼ばわりされていた彼女らが、なし崩し的に交接に及ぶさまを目の当たりにし、自分の理想と現実のはざまで悶々とすることに…


 ちなみに別の場所では「セックスや男が嫌いなわけではない。みんなお友達。結婚で性的自由を奪われるのは馬鹿らしいのでどんどん不倫するべき」などとおっしゃられているので、当時の心境は何となく察せられるような気もする。


 その後、運動が下火になると同時にかつての同志の男たちがコロッと宗旨替えし、現実世界に舞い戻って何事もなかったかのように結婚するさまを見るにつけ、リブに目覚める事となる。ご本人いわくきっかけは「完全に私怨です。若き日の恨みつらみは全部わすれない」との事。


 歳月を重ね、女性の解放と主体性を訴え続けるうちにいつしか本邦フェミ界の総元締めと仰ぎ見られるようになり、本を書けばベストセラー、インタビューの申し込みは引きも切らず、いつしか現代資本主義経済の恩恵に首までどっぷりと漬かることに…


 さはさりながら、本人の言動は男性中心社会批判のポジションから逸脱することなく、どころかますます先鋭化するとともに周囲は感化されたお味方やお弟子さんらが幾重にも取り巻く事態となり、もはや何人といえども批判することははばかられる聖なる存在へと昇り詰める。


 社会的に成功をおさめて地位も確立し、その帰結として裕福な生活を手に入れられた。都心のタワマンに住まい高級外車を乗り回しつつも、相変わらずご自身の経済基盤たる現実社会をひたすら批判し続ける毎日をおくる。


 ついには「みんなで等しく貧乏になりましょう」との謎のご宣託までのたまわれることに。まずはご自身がその手本を見せてはいかがとの言葉が喉まで出かかるも、とりあえず自制します。


 振り返れば50年前に立て籠もった仲間たちの中で最も栄華を極めることになったのは、真ん丸なおむすびを上手に握り続けた彼女であったのではないかという、人生の不可思議、不条理ともいうべき帰結かとも思え…


 この現象、私のモットーでもある「歴史は偶然の積み重ね」の論拠の端っこにそっと置いておいてもよろしいでしょうか。それともお叱りを受けることになるのでしょうか?もちろんご本人の人一倍の精進あってこその結果ではありましょうが、個人的に前記の思いも拭い難いのも本音であります。


 しかしながら、彼女の一生を捧げたフェミニズムジェンダー関連の研究成果が、私どもの日常生活にどの程度影響を及ぼしたのかは、感受性の鈍いやや保守傾向でもある者の眼には、はっきりと見えづらいのもまた事実でありまして…


 国立大学の教授でいらしたからにはそれなりの国費も費やされていたであろう事も考えあわせると、現代日本における価値観の多様性を理解することがいかに困難であるかと、ついつい嘆息をもらしてしまう「けし粒」の如き私であることよと…


 いつの日か「隗より始めよ」の故事に倣い、ご自身の所有されるタワマンやら高級外車を手放され、有言実行を証する日が来るやいなや、また後世これらの事象がどう評価されるかについては、後に続く方々におまかせし静かに消えてゆこうと期する身ではあります。以上、乱文乱筆ご容赦下さいませ。