書店と図書館の変遷・メモ

 「お金がないなら図書館に行けば良い。新刊も読める」という人を見かけたので、子供の頃からの図書館ユーザーとして言わせてもらいたいんやけど、今の図書館で新刊やちょっと話題になった本を読もうと思ったら、1年待ちとかザラです。昔はね、割と早く読めたけどね。


 20年くらい前はまだ、そんなに待たなくても読む事ができた。ネットで予約できるようになった手軽さもあるけど、明らかに借りる人が増えてると思うんよね。私はこれ、自分で買える人が減ったと思ってるんやけども。


 図書館で借りる人が増えたから、本が売れなくなったと思う人も居るかもしれんけど、私の体感は逆。買えなくなったから図書館で借りる人が増えた。雑誌や文庫を手軽に買える人が減った。ましてや単行本なんて、という感じ。


 すごく昔の書店バイト員なので思うんやけど。私のバイト先は河原町にあったので、あの頃は書店で待ち合わせする人とか、映画が始まるまでの時間つぶしする人とかいたのね。そういう人達が「ちょっと面白そう」って文庫や雑誌を気軽に買えてたんよね。


 学生さんが、映画1本観て、文庫1冊買って、ラーメン1杯食べて。今だったらこれ贅沢って言われるようになってて、図書館行ったら読めるよとかいうけど、気軽に買える人が減ってるって事は、図書館でも1年待ちとかになってんだよね。買えなくなってるのは一部の人の話じゃないから。


 なんかこう、もっと良いシステム出来んものかしら…私はもっと図書館で本が読まれてほしい。作者にお金が入ってほしい。もっと本が気軽に買えるといい。もっと本が売れてほしい。新刊や話題の本だけじゃなくて、本と出会える場所が在ってほしい。


 何でこんな事を考えてるかといえば、たまたま今日TLでラングの色の童話集のtweetを見かけて。


 子供の頃、図書館で出会って大好きだった童話集なんやけど、お小遣いでは買えなかったし、周囲でその話が出来る人もいなかったし、でも同じ本を好きな人がこの歳になっても見かけられて嬉しかったのね。そういうのが続いてほしいなあって思ったから。

 出版業界の業績は1990年半ばから低下傾向にありますが、読書は基本的に娯楽の性質が強いですから、1990年代からのアニメ文化の急成長に加えて、ゲームやスマホなど他の娯楽が台頭したことで若者が読書する習慣が薄れて、お金の使い道として優先度が低下しただけじゃないですかね?

 AppStoreのスマホアプリ課金額の統計や、youtubeのスパチャ課金額統計は日本人がぶっちぎりで世界1位だったりするので、1回3000円のガチャ回したり仮想アイドルに数千円の投げ銭できる人たちが本を買えるだけの金銭的余裕がないとは思えないんですよね。買えないではなく、買わないが正しいのかなと。

 20年くらい前は、図書館には同じ本が何冊もありました。