家の成仏

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 家もまた、成仏したよ、という知らせをしてくれるもの、なのかな……

 穏やかに晴れた、おそらくは初夏か初秋くらいの感じの日で、近所の人がたなども向かいの家に集っていて、ぬこやわんこの姿はなかったけれども、残ったガラクタの類がまだあることに、あれはば~さん(人間の)なのか、案外残ったまんまでいるものなんやね~、的な呑気なことを後ろ姿で言うたりしてた。

 育った家は震災で跡形もなく崩壊したし、その前に住んでた家もいつどういう風になくなったのか全く知る由もなく、同じく震災でかなりやられたと聞いて以降、当時を思い起こすよすがはカケラもなくなっているし、生まれたアパートやその後の社宅に至ってはそんなもの残っているはずもなく。

 ひとり暮らしをしていた頃のアパートの類も全部、きれいに建て替わっているか、跡形もなくなっているはずで、そういう有為転変はほんとに自分に関する限り、見事なまでに一貫している。

 墓も遠いところにあるからヘタすりゃこの先、無縁墓になりそうだし、親戚の類も父方は残っているのはひとりだけ、これも遠くにいてつきあいなし、母方も代が変わっているし、何よりこちらも日常的なつきあいはほぼなくなっているから、「いなか」とか「実家」的なしがらみはなくなっている、と。

*1:夢、を見た。妙に鮮明な夢だった。あまり夢を見ない方なので、余計に印象が強かった。そして、気がついた。ちょうど一年前の今日、だった。そのことについての、備忘的断片。