文学

関川夏央の記憶・雑感

「二十代のころ、わたしは関川夏央の文体を真似した失敗作をたくさん書いた。深夜、阿佐ヶ谷のファミレスで原稿を書いた。恥ずかしい過去とは思っていない」文壇高円寺『二十八年前』僕らが10代終りから20代になる80年代の終わり、バブルの影に隠れて…

オリザ問題さらに

科研費ってどっちかというと「私の研究は何より優れているから金くれ」ではなくて、「こんな独自性があってこんなことが分かると思うから金くれ」なので、なんか平田オリザ、産業も研究も自分以外をすべて間違って認識してないか? https://t.co/tMuXIm7Nap—…

読み方についての来歴・雑感

読むべきものとしていの一番に「論文」というジャンルが疑いもなく当然のように出てくる、出せてくるあたりがもう、外道にゃ理解でけん感覚だったりする。 読むべきだと思ってそう判断したなら何であれ読む、文字活字であれば言わずもがな、それ以外のもので…

本邦ポスモの本性・雑感

ソーカル以来、ポスモは自然科学を生半可にさわってドヤったバカ(大意)って理解になっとってそれはそれだが、ただ本邦ポスモの場合はそれらと少し違うありようしとったような気がする。 ようわからんが、本邦の場合はそれまでのいわゆる「文学」が下味として…

ラノベの「効用」・メモ

https://twitter.com/akihiro_koyama/status/1230789909390082048 「天声人語」の書き取りを小学生の子供にやらせてる家があって、 その家の子は勉強量の割に本当に致命的に国語力が低かった。 親御さんに強く勧めて漫画をどんどん買わせて、 低学年の読解か…

「読む」ことの現在

わかるわ〜私はかなり本読んでた方だと思うが、Twitter追ってリンク先の記事やらブログやらを読む、と言う悪習(と敢えて言う)を一日何時間か5年ほど続けた結果、一冊の本を読み通すのが前に比べ激しくツライ。まして最初からそうな人々にしてみたら。(続…

遠ざかる「オシャレ」・雑感

岡崎京子のまんがは現在のティーンエイジャーにはまったくウケないのだそうだ「なぜわざと不幸になるのか」という点が理解不能の由、しかしおれ世代に太宰治がまったく響かなかったことを想えばさもありなんではある。 pic.twitter.com/wj62F85Ue0— 𝙏𝙖𝙠𝙖𝙜𝙞 𝙎…

「児童」と「民俗」・雑感

「民俗」の発見と「児童」の発見の関係について。あるいは、民俗学と児童文学の、本邦近代思想史上の相似性について。たとえば、共に近代的な〈知〉の通俗化と凡庸化のある接点において、その版図をうっかり拡大してきたという意味においての。 これはあの柄…

あいちトリエンナーレ事件と戦後レジューム・メモ

今回のあいちトリエンナーレの騒ぎは、表現の自由など様々な側面で語られうるだろう。その中で私がなんとも残念なのは、韓国側からは持ち出せない形にした慰安婦問題を、日本国内から再燃させてしまったということ。せっかく完遂されようとしていた戦後レジ…

「おはなし」の遷移・メモ

半青で実感したんだけど、一定の人々にとって、物語とは道徳的な教訓話であり、若い女性や子どもが主人公の場合は苦労してがんばる話じゃないと物語の型を守っていないとイライラするのではないかと思う。もう嫉妬とか抑圧とか通り越して、思考停止じゃない…

ポスモ/ニューアカと自然主義・メモ

*1 「自己を「自然」の代表者かそれに近いものと見、これによって他人や社会の陥っている不自然の中から「自然」を探し出し掘り出す可能性を自負した以上、自分以上に興味ある対象はなくなり、ここにわが国自然主義特有の一種強烈なナルシシズムが誕生したのです…

佐伯彰一の「歴史」認識

「時間の推移と共に、文学作品もまた歴史の一部と化してゆくという、僕の日ごろの感慨が又しても裏づけられたと、呟かぬわけにはゆかない。つまり、人間の現実の即席、その行動や蹉跌ばかりでなく、その願望と失望、夢とファンタジーまでもが、まぎれもなく…

英国初期近代の文芸から・メモ

*1 私は文芸が社交のツールだった英国初期近代(近世)の研究をしているのですが、実はそういう時代だと逆に「紙の印刷書籍(商品)にするなんてはしたない! 文芸はあくまで社交の範囲にとどめおくべきだ!」みたいな思想(stigma of print)があるんですよ…

「民芸」・アンノン族・ファンシー絵みやげ

それディスカバー・ジャパン前史方面から調べてみるとおもしろそう。新年度になったら資料あさってみますわ(忘れなければ)。— ESHITA Masayuki (@massa27) 2019年3月8日 「民芸」ってもの言い、当初の柳宗悦界隈からあさっての方向にズレていって、高度成長…

〈いま・ここ〉と〈それ以前/外〉

*1 若い衆に曳かれてラノベ(とその周辺)詣りをしてきて昨今のそれ系批評or概説類を管見ながらも啄んでみて改めて感じるのは、むしろ〈それ以外〉の視点からそれらを逆さまに見通そうとしてみることも今や必要になってきとるんかも知れんなぁ、と。 ラノベや…

ストーリーのいまどき・メモ

*1 以前、とある日常ラブコメマンガの話をとある同業者さんとしてたら、 「あれってストーリーないじゃないですか」 「え? ありますよ。人間関係がだんだん変化していくじゃないですか」 「アスタさんはそれをストーリーって呼べる人なんですね、なるほど」…

現代民話、ひとつ

*1 むかし友達のドカタの現場監督が中国人を3人臨時で雇っていてな、まだ景気の良かった頃なので旧い中古住宅に住まわせて。そんでその近くに公園があって、そこで彼らは実に巧みに鳩を捕まえては首を落としては近所の木に吊るし血を抜いて食っていたのだが…

物語というトンネル

www.jigowatt121.com このあたりの違和感は最近、若い衆世代の感覚としても観察されてきている。与えられている枠組みから外れることを忌避する。いや、忌避するよりもなお、そんな選択肢があること自体を想定しない、ないしはできない。なぜそんなことをし…

寅さん50周年、のワヤ

山田洋次と松竹の迷走暴走耄碌っぷりは、ついにここまで来た。\最新情報❗/ 新作映画『#男はつらいよ お帰り 寅さん』の主題歌が決定!記念すべき50周年・50作目に華を添えるべく、#サザンオールスターズ の #桑田佳祐 さんが主題歌「男はつらいよ」を…

小次郎、そして石松「伝説」

*1 そういや、浅井長政がいつ頃から美男子で定着したのかってツイートを何件か見かけたけど、佐々木小次郎も大概美形って事にされてるよね。— 第4インター系 (@Lev1026) 2019年2月13日 小次郎が美形というイメージを定着させたのは吉川英治でしょうけど、そ…

文系学者は作家くずれ説・雑感

学問は勝った負けたが大事ではなくて、互いに知識を補って、真理に近づくことが目的。しかし、文系にはこの学問観を共有していない人が多い。昔、ある文系の先生に聞いた話だが、文系の学者は作家を目指して挫折した人が多いのだとか。だから、事実に向き合…

藤原審爾、のことなど

ちと必要あって藤原審爾のことをこのところ少しさわり始めとるんだけれども、いやほんまにこれ、かなりの売れっ子で仕事もしてきた御仁なのに、ほとんどちゃんと論じられたりされとらん書き手になっとるのは、いつものこととは言いながら、なんでなん? と。*…

「工作舎」的ファッショナブルの来歴・メモ

*1 1970年代末から90年代初頭にかけて、自然科学と今でいう自己啓発をないまぜに雑学衒学とりまぜていい加減なこと吹きまくっても締めにフランスの哲学者や英語圏の科学者の引用(正確でなくても加)いれれば、世間でまかり通れる時代がありまして— 原田 実 …

ことばに合焦してしまう意識の習い性・メモ

クラシックやジャズが「高級」で「知的」な音楽で、かつての「教養」の一角すら形成していた理由について。あれ、要は「歌詞」がなかったから、という事情もあったと思っている。 ことばと意味とにまつわらされているある種のめんどくささみたいなものは、同時に通…

「なろう」とその界隈・メモ

ラノベと「なろう」その他について、Twitterより。 昨日は操觚の会トークイベント、「小説家になろうで小説家になろう」なる刺激的なテーマとあれば来聴せずんばあるべからず。ケータイ小説末期に大学生のベンチャーとして始まったサイトが生き残った理由、…

「おはなし」の生態系・雑感

「おはなし」が存在する/できる場なり関係なりの仕切りがなしくずしにgdgdになっていった経緯、ってのもあって、それがいろいろ悪さしとるところ、あるんだろうなぁ、いわゆる「歴史」認識のありようなんかにも(´・ω・`) #なんかいろいろ見させられとる昨今 虚構…

とあるブンガク

*1 今から15年ほど前、20代後半の頃に個別指導系の学習塾で数年間働いていた。担当は男子中学生ばかりだったがその中に明らかにオーラが違うイケメンがいた。今で言えば坂口健太郎によく似ていたので、ここでは彼を坂口君と呼ぶ。坂口君は身長180弱、不良っ…

長谷川伸と「映画」・メモ

身近な日常での「俠客」的な存在が、実態と共に記憶としても都市部を軸に薄れ始めた頃に、それこそ「股旅もの」と呼ばれた長谷川伸らの創作が受け入れられ始めたわけで、な。 長谷川伸の創作世界での〈リアル〉にしても、基本的には明治初年から中頃あたりの…

安さんと大宮、その他・メモ

安さん、と、大宮のこと。「無法松の一生」が下敷きになっていること。 ただし、その上で山田洋次的な「はなし」の枠組みが随所に特徴的に現われてくる。舞台となる共同体≒ムラにある日ふらりとやってくる得体の知れない主人公。 流れ者で非定住で少なくとも良…

刺青と「あの世」の通底・メモ

*1 入れ墨、文身にしても、それを「背負う」際にどのような意匠を選ぶのか。単に強そうだから、脅しが効きそうだからといった理由だけでそれらが選ばれていたと考えるのは、貧しい発想だろう。 文字を使うか、絵柄にするか。しかしこれは「文字」と「それ以外」…